2021年6月30日付マドリード州裁判所判決(事件番号ECLI:ES:APM:2021:10220)は、初回請求書の支払い後、ある求人に対する候補者選定・紹介業の仲介・媒介者と締結した契約を、委託者が一方的に取消した事例を扱った。

当該判決の法的根拠第6及び第7番は、それぞれ、契約の法的性質、委託者の契約取消権、及びその効力について検討するものである。

A)その法的概念・性質について

2014年7月30日付スペイン最高裁判決に言及し、「仲介・媒介契約において、仲介人の業務は、原則として、特定の目的に関する将来的な買主と売主を引き合わせることに限定しなければならないが、いかなる場合においても最終的な契約締結がなされるためにその活動を展開しなければならない」と説明した。また、委託者と仲介人の法的関係は、仲介契約業務のみから排他的に生じるものではなく、権利義務の発生には、仲介人が当事者の契約に効果的に貢献したという事実が必要である。本法廷において、明示的な合意がない限り、報酬の発生について、意図された契約締結が報酬支払いの条件となることは、一貫して明言してきたことである、と述べた。仲介人の報酬(手数料)受領権は、仲介人が介入した業務において明らかに仲介行為が具体化した場合に生じ、当該サービス提供に対する報酬請求権は、「取引が仲介人の即時介入によって成立する場合、もしくは、委託者仲介人の業務を活用した上で直接契約する場合の両方において」生じることを確認した。

B) 委託者の契約取消権について

ローマ法によって既に確立された伝統的な原則であり、フランス法およびほとんどの近代法典に含まれている。委任と委託は本人の意思により取消可能であることが、原則と理解される。しかしながら、明示的な合意がある場合、又は、委任契約が基礎となる事業の正式な手段として機能している場合は例外とする。

スペイン商法第279条(委託)及び民法第1733条(委任)の仲介契約への類似適用は、これらの事業が「他者の利益追求への協力と管理」契約を構成する類似性により可能となる。2008年11月13日付最高裁判決では、取消権は双務的な契約関係においては例外であるが、仲介契約においては、相互の信頼関係に基礎を置くというその性質によって説明されると言及した。同様に、2005年10月6日付最高裁判決にも言及し、受任者の不誠実または誠意に欠ける行為による信頼の喪失後に委任を維持するのは不可能であると宣言した。

すなわち、取消は、当事者間の契約関係を有効に終了することを目的とする意思の一方的な宣言として理解され、真の取消し意思が存在し、かつそれについて正当な理由がある限り、委任契約の契約終了原因として適用されるとした。

C)取消しの効果

法的根拠第9番では以下のように述べている。

  1. 取消意思が仲介人の知るところとなる以前に実行された仲介取引により生じた権利以上の権利は、取消しによって生じないことは、確立された見解である。
  2. 賠償請求権は、一方的な取消しが権利濫用である、又は契約の誠実原則に反する場合にのみ留保される。
  3. 相互の信頼に基づく契約が取消しにより終了した場合、金銭的補償が必ず発生するわけではなく、以下の場合に限られる。

・合意された事前通知期間が守られていない場合

・契約の誠実原則に反する場合

・権利濫用となる場合

これらの場合には、損害賠償請求の根拠は、契約上の義務の不履行、誠実さの欠如又は権利の濫用や法の悪意による行使となるだろう。

本件判決は、委託者によりなされた一方的な契約取消が有効であるとし、受託者によりなされた取消解除の根拠は法に適していないとして、上告を却下した。

 

 

ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年2月11日