2021年7月26日付官報にて、法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)の2021年7月7日付決定が公示された。当該決定は、ある有限会社(S.L.)の定款変更にかかる決定についての公正証書の登記申請を、マドリード第23商業登記書登記官が却下したことに関連するものである。

本件では、当該会社は役員報酬に関する定款の条項を変更しようとしていた。変更後の条項は以下のように定めていた。

「取締役の役職については、株主総会によって事業年度ごとに定められる固定金額の報酬が支払われる。」「経営機関が取締役会である場合には、取締役は死亡または解任についての補償金を受け取る権利を有する。ただし当該解任が取締役の職務不履行を理由としない場合に限る。」これらの場合、「当該補償金について年間に受領する金額の上限は株主総会が定めるものとする。」「経営機関が取締役会である場合、各事業年度に各取締役が受け取る金額は、株主総会により定められた金額の範囲内で、取締役会が定める。」

また、同条項には「取締役は会社における執行職及び/又は専門職に就任することができ、この場合にはそれら執行職への職務に相当する報酬を追加で受領する権利を有する。」と定められている。上記に続いて、取締役が執行職を務める場合に締結しなければならない契約について定める資本会社法第249条の本文がそのまま記載されている。

登記官は、資本会社法第217条及び第249条と2018年2月26日付最高裁判例に従えば、執行機能を担う取締役会の構成員が受領する報酬額の事前決定するためにも、株主総会の承認が必要であるとして、上記定款変更にかかる登記を却下した。

この判断について、異議申し立てがなされた。

公文書管理局は、取締役の役員報酬に関する様々な論点、特に法第31/2014号による資本会社法の改正が行われた後の論点について分析し、以下のように説明をした。

「資本会社法第217条及び第249条の解釈において、2018年2月26日付最高裁判決を支援し、従前の当局の決定に従うという柔軟性の観点から、当局は、執行役員を兼務する取締役への複数の異なるコンセプトの報酬がある場合には会社の定款内に記載がされなければならないものの、定款に定める複数のコンセプトのすべて又は一部について報酬が支払われるのかを定める当該執行取締役と会社との間で締結される契約に従うことも可能である。このようにすることで、可能な報酬コンセプトが定款で定められ、取締役全員に支払われる年間報酬の総額の上限が株主総会によって承認されることで、必要な株主保護と両立可能となる。そして、定款変更の必要なく、資本会社法第249条で言及される契約に含めるべきコンセプトを、ケース毎に、定款に備えられた異なる報酬コンセプトの中から選択する管轄を取締役会に与えることは、実務の必要性への適応である。」

そして公文書管理局は、「本件においては、問題の定款の条項は、2019年10月31日付決定において当局によって認められたものと類似しており、資本会社法第217条及び第249条に定められているパラメータに従っていることから、登記官がその判断通知において表した理由による登記却下を認める余地はない。」と結論づけた。

最終的に、公文書管理局は異議申し立てを認め、登記却下通知を取り消した。

 

ヴィラ法律事務所

 

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2021年8月27日