前回の記事「取締役辞任書送付形態」の続きとして、本稿では会社の取締役辞任に関する通知形式について検討する。

商業登記規則第147条は、取締役の辞任の通知は会社に確実に通知される書面によってなされなければならない、と規定している。

Burofax(内容証明郵便)による取締役辞任通知の送付は確実な方法と理解できるだろうか?という問いの答えは、肯定的であるべきと思われる。しかし、20221013日付スペイン公文書管理局の決定は、否定的に結論づけた。

本件の事実背景は次の通りである。辞任取締役の署名がされた辞任通知に、公証人認証が付された文書が商業登記所に提出された。当該通知が確実に会社に配達されたことは、辞任取締役の電子署名がされた文書が内容証明郵便(Burofax)にて送付されたことで立証されていた。そして、当該文書内容は、公証人認証がされた自署のある文書と同一であった。当該Burofaxは会社の本店所在地に確かに配達され、受領も確実な証拠にて確認できる。

登記官は、商業登記規則第147条が公証規則第202条に言及していることから、会社への通知は、公証人による受領証明付き証明郵便による文書の送付、又は、公証人が直接会社の住所に赴き通知を手渡す、かのいずれかによるべきとして、登記を却下した。

公文書管理局は、本件登記官の登記却下判断を正しいものと確認した。本件辞任の登記認定は、まず、会社に確実に通知がされたことを条件としていると言及した。次に、唯一の方法として、公証人による通知が十分であることを認めた。しかし、非常に奇妙なことに、Burofaxによる通知が商業登記規則第147条に定める確実性の要件を満たしているかを明示的に評価しておらず、疑念を解消するものではなかった。

いずれにせよ、当該決定には議論の余地があるように思われる。上述の第147条は、通知が「確実」であることを要件としており、必ずしも公証人を通じて行わなければならないとするものではない。加えて、当該問題は、通知証書という公証人文書にについて規定する公証規則第202条に言及するものでもない。第三に、会社が取締役辞任の事実とその条件について正確な認識を持つことが不可欠であることは明らかである。公証人文書による方法以外の方法であっても、会社の本店所在地において通知受領を確実に確認できる方法が存在するのであれば、目的は達成され、通知が適切になされたと理解すべきだろう。

上記の理解の裏付けとして、Burofaxによる通知の性質について留意しなければならない。「ユニバーサル郵便サービスに関する」2010年付法律第43/2010号第22条第4項には、「指定事業者(この場合は、スペインの公共郵便サービスCorreos)の業務は、[]行政・司法機関発行の通知の配布、配達、受領、受領拒否又は配達不可能について正確性と信頼性の推定を享受するものとする。」と定めている。当該言明は、行政レベルのみならず、民間レベルにも投影されなければならず、郵便局のBurofaxによってなされた通知の配達・受領の確実性も理解されるべきである。法が行政機関及び司法機関にのみ明白に言及しているという事実のみをもって、私的団体や個人から送信されたBurofaxがその確実性を失うという、合理的な理由が見当たらない。このことを鑑みると、Burofaxによる通知の確実性が明らかであるとされるのであれば、通知が公証人を通じた形式を強制される根拠も必要性も理解することができない。

当事務所の見解とは独立して、公文書管理局の現在の見解(当事務所の見解では同意しない)に変更がない限り、会社の取締役地位の辞任通知は、公証人を通じて会社の本店所在地に到達し、辞任通知には公証人認証がされた当該取締役の署名が付されてなければならないと、現段階では理解するのがよかろう。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年12月9日