2022年9月20日付勅令第765/2022号(施行日は同年10月9日)(以下「本勅令」という)は、超軽量電動航空機(以下「ULM」という。)の使用及びその規制体制を一般的な観点から見直すものである。この法令改正は、次の2つの局面において寄与する可能性がある。(i) 航空機全般、特にULMの設計および製造の技術的発展、(ii) この分野に関してヨーロッパで生じた規制の変更。これにより、スペインの法制度(主に1988年11月14日付命令だが、法第48/1960号海域航法及び勅令第2876/1982号で支持されている)において現在確立されている要件の見直しが行われる。

この欧州規則をスペイン国内法令に導入することの重要性は、ULMが、商品やサービスの商業化およびその流通手段や都市部の人々の移動手段として、近い将来に得るだろう役割が増大していることにある。この意味で、本勅令の主な目的は、これらの変化への適応を始めることであり、したがって、ULMの製造業者、設計者、操縦士が関連する証明書取得のために満たさなければならない要件は、今日、その地位取得準備を始めるために不可欠な条件となっている。

より具体的に言えば、本勅令の目的は、既存のULMに関する規則の適用範囲を、主に以下の3つの要件を満たす場合に限り、ヘリコプター、小型飛行機、モーター付きオートジャイロにまで拡大することである。

(i) 着陸体制での失速速度が25ノット(83.34 Km/h)を超えないこと。

(ii) 乗員用の座席が2席を超えないこと

(iii) 最大離陸質量が600kgを超えないこと[1]

また、本勅令は、本稿においてまとめると、以下の4つの領域について規制をしている。

第一に、常に最大限のセキュリティを確保することを目的として、運用上の手順とともに離着陸の手順[2]において常に満たすべき要件を制定している。

第二に、本勅令第5条及び第6条において、飛行訓練学校が訓練を合法的に実施するための適切な権限を与えるために従うべき手続きを全般的に定めている。

第三に、本勅令は、たとえばULMの操縦士の訓練において重要な要素等、ULM学校が訓練学校として守るべき要件[3]を定めている。

第四に、本勅令第7条及び8条は、ULM学校の指導責任者のための更なる義務を定めている。

最後に、経過規定及び追加規定により、本勅令はその最終部分で、(i) 本勅令の施行前に発行されたULM証明書(その有効性を維持するための特定の要件の設定[4])及び(ii) 本勅令施行時において手続き中の証明書手続き[5]を対処するためのいくつかのメカニズムを定めている。

この分野の一部の専門家、協会団体及び関係者によれば、本勅令は過度に一般的な観点からのみULMを規定するものに留まっている。しかしながら、勅令自身は従前の規制と比較して進歩をしているものの、規制の外に置かれたいくつかの問題に対処できるようにするには、補完的な法令の制定が必要となるだろう。いずれにせよ、本勅令が含み始めた変更を日常の現実が要求するにつれ、本分野における規制はより重要性を増していくだろう。

 

 

マルティネス・コスタ・ディエゴ (Diego Martínez-Costa)

ヴィラ法律事務所

 

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va@vila.es

 

2023年1月20日

 

 

[1] 最大重量が650kgwと予想される水陸療養航空機とヘリコプターは除く。

[2] ULMの離発着場所として承認されている場所やその他乗船中の者が持つ必要がある安全防具

[3] 勅令第765/20226.2: ‘’加えて、ULM学校は少なくとも以下の手段を備えなければならない。操縦士、ULM操縦士の資格保有者(現在の指導家評価の成績を有する者)、デュアルコントロールULM、指導責任者または指導責任者となるための法定要件を満たしている者、無線コミュニケーションシステムまたは信号システム、緊急医療支援のための応急処置キット’’

[4] 空重量は、最大離陸重量から145kg(二人乗り航空機の場合)又は75 kg(一人乗り航空機の場合)を差し引いた値を超えてはならない。

[5] これらの場合、従前の規制た適用され、脚注4で記載された空重量の制限が適用される。