最近、ブリュッセルの控訴裁判所はDoyen Sports Investments及びベルギーのクラブF.C. SeraingによるFIFAの第三者所有(TPO)及び第三者支配(TPI)規定は違法であるとする訴えを棄却した。

上記規則は次の内容を定めるものである。

a) TPO:全てのクラブ、または選手が第三者に対し他のクラブへの将来の移籍金の一部または全部を受け取る権利を与えること、または将来の契約または契約の対価に関連する権利を与える内容の契約を第三者と締結することを禁止する。

b) TPI:全てのクラブは、競争相手のクラブに対し、その逆、つまり競争相手からクラブに対しても同様に、または第三者に対して、労働問題及び移籍に関するクラブチームの独立性、ポリシー、または行動に関して影響を与えることを可能とする立場を許容する契約をしないことを合意する。

選手またはクラブに関する一定の経済的権利を投資家が獲得することは、クラブの経済的状況により財政支援を求めざるを得ない南アメリカにおいて多く使われてきた法的図式である。この図式には例えば選手が将来移籍した場合に、投資家が移籍時に発生した額の一定割合を受け取る権利を有することを含まれる。

しかし、これらの図式の問題点は、経済的な利益とスポーツ的利益の対立を生む。投資家はクラブまたは選手に関する決定権を持つようになり、スポーツ関係の純粋な性質や選手の将来についての利益を不明確なものとする可能性があった。

故に、FIFAは、絶え間ない発展のため、スポーツと競争の本質に従い、ゲームの当事者(選手やクラブ)のスポーツ的利益を守るべき市場において大きすぎる権力を集めるようになった上記のようなスポーツと金の関係を禁止する決定をした。

本件は、上記に説明したような投資資金、禁止事項の実施などに関しTPOに合意したことを理由として、FIFAがクラブに課す懲罰や制裁(出場停止と経済的制裁)を端緒としている。本件では、クラブはスポーツ仲裁裁判所(TAS)へ訴えを提起し、同法廷はFIFAが課した制裁について認める一方、出場停止期間の縮小を命じた。F.C. Seraingは、FIFAの当該禁止事項は公の秩序に反するとして、スイス連邦裁判所にスポーツ仲裁裁判所の判断の取消しを求め訴えを提起した。F.C. Seraingの主張は棄却され、スイス連邦裁判所は同仲裁判断を維持した。

F.C. Seraingは、次に、F.C. Seraing自国であるベルギーの裁判所に訴えを起こし、本件を公にした後、これを解決した。

2019年12月12日付の判決において、同裁判所は、スポーツ仲裁裁判所の判断の完全な効果を再確認した。つまり、2017年3月9日付スポーツ仲裁裁判所の判断、及び本件に関する2018年2月20日付スイス連邦裁判所判決は最終的な判決であり、更に異議を申し立てることはできないと言い渡し、TPO及びTPI規定違反としてFIFAがF.C. Seraingに課した制裁の有効性を確認した。

この判決は、訴えの申立人が裁判所に対しFIFA規定の法的趣旨に疑問を呈すだけの十分な根拠を示さなかったと確認している。

結果として、繰り返しにはなるが、独立した裁判所により、有効な法規定であるFIFAのTPO及びTPI規定の有効性に疑問を呈する理由はないと判断がなされたのであり、当該FIFAの規定はクラブと選手の独立性の担保、及びチームと競争との信用性の保障のために不可欠であることと再度確認した。

ブリュッセル控訴裁判所による判決もまたDoyen Sports Investments とel F.C. Seraingに対し訴訟手続き費用の負担を課すものであった。

 

 

テラン・アンドレアス (Andreas Terán)

ヴィラ法律事務所

 

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2019年12月20日