EU各国における移民流入の増加及び懸念は、不法移民に関する規制を保証し、可能な限り人道的措置を整えることができるよう、EU加盟国間の協力を保証するような規則を導入する必要性をもたらした。

2019年6月20日欧州議会及び欧州理事会規則第1240号により、EU入国管理官網の創設を通じて加盟国、欧州理事会及びEU機関から第三国に送られた入国管理官同士の協力及び協同を強化するため、一連の規則が設けられた。

入国管理官の職務

本規則に基づき、入国管理官は以下の職務を担う。

i) 派遣地における管轄機関によって定められた責任の範囲内で負うべき職務及び個人データ保護関連の諸規定を含む法令の監視

ii) EU法及び国際法の一般原則としての基本的人権に基づいた職務(人権関連の問題も含む)。弱者に対して特別な配慮をし、移民流入の種類の様相を考慮する。

iii) 実務上、戦略上、またはその両方の理由で有用となり得る情報の収集

iv) 入国審査官同士及び適切な関係者と、管轄機関及び第三国の関係者に対する能力開発活動の提供の調整

v) 知識及び能力開発のため、以下に出席することができる

(a) イレギュラーな状況における第三国の身元及び国籍の特定及びその送還、及び適切かつ可能な場合には再入国のための支援

(b) EUでの定住を容易にする目的での国際的な保護が必要な人物の身元確認

(c) 身元確認及び合法移民の受け入れに関してEU及び各国が講じる措置の導入支援

(d) 不法移民の防止及び検出、移民の不法輸送防止及び人道的扱いを目的とした、移民入国管理官網内及び各加盟国の管轄機関との間のコミュニケーションにおいて各自の職務遂行により取得した情報の交換

入国管理官網(現地または地域)の創設

同一国又は地域に配置された各加盟国の入国管理官は、適切な場合にはEU加盟国ではない国の入国管理官も含めて、当該地又は地域の協力及び協同のための入国管理官網を構築するものとする。これら連絡網の範囲内で、入国管理官は具体的に以下のことを行う。

i) 定期的なミーティング及び必要な場合に行うミーティング

ii) ミーティングやセキュリティが保証されたインターネット上情報交換プラットフォームを通じた情報及び実務経験の交換。

iii) 国際保護へのアクセスに関する経験についての情報交換(適切な場合)

iv) 商業輸送業者とのコミュニケーションにおいて採用される拠点の調整(必要な場合)

v) 基本的権利、人道的取り扱い、不法な移民輸送、文書偽造又は第三国における国際保護へのアクセスといったテーマに関する共同特別訓練への参加

vi) 第三国にて勤務する外交官及び領事館員のための情報提供及びトレーニングコースの企画

vii) 戦略的観点から、重要情報の収集及び提出方法に関して共通のフォーカスを採用する

viii) 第三国及びその隣国における類似連絡網への定期的なコンタクトの構築

役員会の設置

この入国管理官網の制度として、役員会が設置される。この役員会は各加盟国の代表者1名、欧州委員会の代表者2名、国境沿岸警備機関の代表者1名、Europolの代表者1名及び欧州難民支援事務所の代表者1名から構成される。

役員会は、EUの機関から提供された状況及び分析についてのグローバルな観点に基づき、以下の職務を担う。

i) 2年毎の活動プログラムの採用を通じた活動の優先順位及び予定表の作成(当該活動支援のために必要な予算も含む。)

ii) 適切な場合に、2年毎の活動プログラムの修正を提案する目的で、活動実施状況を検証する。また、連絡網提供者の任命及び第三国の管轄機関との協力の範囲内で行う入国管理官連絡網の設置の進捗状況についても検証を行う。

iii) 2年毎の活動報告書の作成

iv) 毎回の役員会の前になされる派遣入国管理官名簿の更新

v) 派遣に関して空白地の特定及び入国管理官派遣の可能性についての表明

情報交換プラットフォーム

関係者の各機能との関係で、各入国管理官につき、入国管理官、役員会メンバー及び連絡網の構築者はあらゆる情報及び戦略はインターネット上の安全な情報交換プラットフォームに掲載され、交換されることを保証する。この情報交換プラットフォームは役員会との同意に基づき欧州理事会によって創設され、欧州理事会によって維持がされる。

施行日

本規則はEU官報で公示された7月25日から20日後に施行される。

 

 

露木美加

ヴィラ法律事務所

 

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2019年8月2日