インターネット経由での物品販売を始める際に考慮しなければならない問題の一つに、会社または個人事業主の何かしらの債務不履行によって消費者が被った損害を当該消費者が法的に請求する場合、どのようなことが起こるかという点がある。
この点、旧EU規則2001年第44号は、契約関係において消費者が弱い立場にあることを鑑み、消費者保護の体制を備えていた。当該消費者保護体制では、消費者による会社または個人事業主への訴えは消費者の居住国の裁判所に申し立てることができた。当該保護の適用には、被告となる会社または個人事業主が経済活動またはプロフェッショナルとしての事業活動を自身または何かしらの手段を通じて、いずれかのEU加盟国で実施していることが条件となる。
インターネットでの販売では、「事業活動の実施」及び「事業活動の運営」という概念を理解することは重要である。この点については、本ウェブサイト内のヴィラ・エドアルド弁護士の記事において確認することができるので参照されたい。(電子商取引とディストリビューションについて)
新しいEU規則2012年第1215号(ブリュッセルI bis)においても当該消費者保護の体制は維持され、かつ、その適用範囲が拡大された。旧EU規則2001年第44号では、消費者は、会社または個人事業主がいずれかの加盟国に拠点を有する場合のみ当該保護を享受することができたに過ぎなかったが、現行の規則では消費者は加盟国以外の国に拠点を置く会社に対してもその裁判管轄を自身の居住国とすることができることとなった。さらに、当該裁判管轄は排他的とされ、明文での適用除外条項によっても変更することはできない。
つまり、EU域内外に拠点を有する会社がEU域内にてインターネット経由で製品を販売する場合、EU加盟国の裁判管轄での訴訟提起の可能性にさらされるということである。
ヴィラ法律事務所
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2015年3月9日