デジタル統一市場の構築は、2018年の欧州委員会の最重要政策の一つである。当該政策に関して欧州委員会は、「明確で、現代的、かつ効率的な基準を持つEU内の企業を支援するためのEU会社法の見直しに注力する」と述べた。
2018年4月25日付けの通達において欧州委員会は、前述の目的達成のために、以下に挙げる対策を行うことを具体的に提示した。
- EU単一市場内における企業の合併、分割、移転を促進する新しいルールは、とりわけ「財政システムの乱用の防止と労働者の権利の保護を保証する」ことである。
- 会社の移転、合併、事業譲渡に関するルールの統一。
- 商業登記所のデジタル化に関し、以下の措置を採る。
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- 電磁的方法による書類の提出・登録
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- 会社設立及びその電磁的登記は、以下に挙げるような個人の利益につながる
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- 登記にかかる時間は今の半分以下となり、その費用は3分の1以下になる。
- 個人的及び会社の当該経費が4200万ユーロから8400万ユーロほど削減されることが試算する。
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- 登記情報のオンライン化、及び、無料化
最終的に、不正およびシステムの乱用を避けるために、国内の管轄機関の担当者は登記申請者に不正の疑いがある場合は、登記書類の書面での提出を求めることができる。
商業登記のデジタル化に関連する新たな変更に合わせて、スペイン政府は、新しい商業登記規則を承認する勅令案についてのパブリックコメントを募集し、新しい商業登記規則の作成過程に一般市民が参加できるようにした。
本パブリックコメントによれば、1996年以来数多くの実質的な商業登記上の規定の変更が発生し、「規制のかなりの部分において有効性が欠如している」状況により、本新法令の作成に至ったとしている。本パブリックコメントでは特に、新法令には、以下に挙げる立法上の新規定が組み込まれるべきであると述べられている。
- スペイン法第14/2003号、起業家支援及び国際化に関する法律の第19条は、「登記所は…単一のコンピュータシステムを通じて電子形式で保管される」と規定する。
- スペイン商業登記法には、EC指令第2009/101 号(新商業登記指令)および、商業登記の相互接続に関するEU指令2012/17号を移転しなければならない
- 新法令には、自主的合意管轄に関する新しい規定スペイン法第15/2015号を含めるべきである。本スペイン法は、商業登記官が非常に多様な局面に際し、現時点にて規定が不足している分野において新たな権限を与えるものとなる。
最終的に、本パブリックコメントは法令の修正目的を以下のように示した。
- 近年行われた多くの改正及び、新局面に対する新しい対策を新規制に一括して採用するため
- 電子的登録システムを商業登記所に設置するため
- 手続きを簡素化、迅速化するための規定の導入。そのことにより組織の経費を削減し、会社自身の効率と、会社と商業登記所の関係の効率を上げること。
このように、EU内及びスペイン国内の法律が、申請登録のデジタル化、手続き及び登記の簡素化、経費削減を導入することに関し、明確な傾向を確認することができる。当該局面の先進国の対策導入例として、おそらくスペインが模倣すべきはイギリスである。例を挙げると、イギリスにおける会社の設立は電磁的方法によって行われ(海外からの設立申請も含む)、商業登記所に設立登記をする際にかかる費用は15ユーロ、2、3時間で登記は終了する。
ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)
ヴィラ法律事務所
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2018年5月25日