欧州司法裁判所は2016年9月14日付判決で、2014年12月9日付決定に基づきマドリード高等裁判所から提出された予備的質問に対する回答を述べた。当該予備的質問の目的は、概すれば、有期雇用契約の解雇補償金について、欧州の法令がスペイン労働者憲章法の規定と相反するかどうかについて明確にすることだった。

EUレベル1999年EC指令第70号の附則である1999年3月18日付無期雇用契約にかかる枠組み合意(以下「枠組み合意」)第4条は、雇用条件に関して、「有期雇用労働者は、単に有期雇用契約であるという理由のみで、無期雇用労働者と比べて不利に取り扱われてはならない。ただし、異なる取り扱いをすることが客観的な理由により正当化される場合は除く。」と定めている。

他方、スペイン国内においては、労働者憲章法は、主に以下の3つのカテゴリーに分類される、雇用契約の種類に応じて異なる種類の解雇補償金を定めている。

(i)  無期雇用契約の場合 勤労年数X20日分の給与相当分の解雇補償金

(ii) 有期雇用契約の場合 勤労年数X12日分の給与相当分の解雇補償金

(iii)トレーニング契約の場合 解雇補償金はなし

欧州の規則とスペイン労働法令との間に明らかな矛盾が存在するため、マドリード高等裁判所は以下の予備質問を欧州司法裁判所に提出した。

  1. まず、枠組合意第4条の「就労条件」の概念に雇用契約の解除に伴い雇用主がその従業員に支払うことが義務付けられる解雇補償金が含まれるか。
  2. 上記質問への回答が「含まれる」である場合、雇用契約の種類に応じて異なる解雇補償金を定めるスペイン法令に対して、欧州の規則は反対の立場であると解釈すべきか

上記2つの予備的質問への欧州司法裁判所の回答はいずれも「YES」であった。

このように、欧州司法裁判所は、スペイン法令が欧州規則に反していることを示し、これにより、有期雇用の労働者の雇用関係が終了する際に、法が無期雇用の労働者に対して定める解雇補償金に類する補償金を有期雇用者が要求できる扉が開かれた。

 

 

マリナ・イスマエル (Ismael Marina)

ヴィラ法律事務所

 

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2016年11月4日