2018年8月24日付の欧州連合(EU)官報(オフィシャルジャーナル)において、欧州連合(EU)と日本の戦略協定の調印に関する欧州連合理事会の決定が発表された。

この協定の第1条では、両締約者が政治的な協力及び分野別の協力並びに共同行動を促進することにより、両締約者間の全般的なパートナーシップの強化、両締約者間の協力並びに国際機関及び地域機関並びに国際的な場及び地域的な場における協力、国際の平和及び安定への共同貢献、共通の価値及び原則、具体的には、民主主義、法の支配、人権及び基本的自由の促進に共同で貢献することを目的とする、とされている。

各条項の合意は、上記の目的の非常に多様なトピックに渡るものであり、以下に司法及び立法分野での協力に関連するものを紹介する。

(1) 司法協力EU及び日本は、司法協力関連でこれまでに締結された条約に関連して、民事及び商事に関する司法協力を強化することを約する。

また、刑事に関する共助に関する日本とEUとの協定を強化促進する。

(2) 資金洗浄及びテロリズムに対する資金供与との戦い両締約者は、普遍的に認められた基準を考慮しつつ、犯罪収益の洗浄のため又はテロリズムに対する資金供与のために利用されることを防止するに当たり、情報の交換等により、協力を促進する

また、EU加盟国及び日本の双方が属している国際金融活動作業部会の規定についても言及している。

(3) 租税租税に関する良い統治を促進するため、国際的に確立された租税基準を遵守し、両締約者は本分野での協力の範囲を広げる。特に、第三国に対し、透明性を高め、情報の交換を確保し、及び有害な租税上の慣行を撤廃するよう奨励する。

(4) 両締約者は、国際刑事裁判所及び適当な場合には国際連合の関連する決議に従って設置される裁判所を 通ずること等により、国際重大犯罪の捜査及び訴追を促進するために協力する。

また、この協定には、危機管理、不拡散と軍縮体制の強化、開発政策、災害管理と人道援助、科学、技術とイノベーションにおける協力、産業協力、 環境、観光、気候変動、及び農業と漁業が含まれる。

これまでの合意に加えて、2018年7月17日に、欧州連合(EU)と日本は経済協定(EPA)に署名した。 この協定は、欧州議会と日本国会によって批准された後、2019年に発効する予定であり、ヨーロッパ地域と日本の間の貿易関係に非常にプラスの影響を与えるものと思われる。

この協定により、両当事者間の貿易障壁と商業的関税障壁が軽減される。 当初は、製品の関税の約85%が免除され、その後一定期間が経ったのち、ほぼ100%の関税が免除される。欧州委員会のデータによると、最大1,000億ユーロにも及ぶコスト削減となる。 この協定より最も影響を受ける商業分野は、医薬品、健康製品、農産食品、自動車、輸送機器である。

欧州委員会によると、同協定のおかげで、欧州生産率は0.76%まで増加すると予想されており、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの調査によると、欧州連合(EU)の対日輸出への影響は3分の1まで増加する可能性があり、欧州連合(EU)の雇用と失業率にも非常にプラスの効果があるだろう。

同協定によって欧州連合(EU)と日本が、経済的及び政治的関係の新たなステージに突入したことは間違いない。 欧州連合(EU)と日本政府間の和解、経済関係の強化、相互投資の増加、司法レベルでの協力の強化などが今後期待できそうだ。

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

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2018年8月24日