2015年10月欧州委員会は、オランダやルクセンブルク等の国々においてスターバックス、アマゾン、アップルのような多国籍企業が行っているいわゆる「税予告」タックスルーリングを違法と宣言した。

タックスルーリングは、企業にあらかじめ税務当局から課税金額を通知するために用いられる。この実務は、基本的には違法ではない。しかしながら、非常に複雑な規制が企業に利益をもたらすような場合には、合法性を欠く事態となる。欧州競争局長マルグレーテ・ヴェスタジェは「利益が同じグループの企業間で分配されている」と述べている。このような規制の下では合法的に納税している企業に不利となる。

多国籍企業がタックスルーリングによる利益を享受しているため、欧州委員会は2015年10月21日、タックスルーリングは意図的に税負担を減らそうとするもので、現行のEU法に則っていないとして、ルクセンブルクのスターバックスとフィアットに対して、それぞれ2千万から3千万ユーロを追納しなければならないと決定した。

そして、欧州委員会はルクセンブルクとオランダに対し、これら多国籍企業に未納分の税の支払いを要求するよう命じた。

2016年7月6日、欧州議会はこのテーマを再度取り上げ、提案を公表した。これは、ルクセンブルクにおける上述の税実務『ルクスリークス(ルクセンブルク・リークス)』ケースへの対応も兼ねている。

議員たちは、租税回避撲滅を目的とした本提案に賛同した。

さらに議員たちはタックスヘイブンのブラックリストならびに租税回避やタックスヘイブンに協力するタックスアドバイザーや弁護士、銀行への処罰の強化を要求した。

この提案はミカエル・トイラー(ドイツ・ALDE社)とイェッペ・コフォ(デンマーク・S&D社)によって全体会議の「タックスルーリングII」特別委員会に提案され、賛成514票、反対68票、棄権125票で可決された。

トイラー氏曰く、「税のダンピングは、欧州経済の柱ともいうべき一般市民や中小企業の負担によって行われる。公正な税制度の下では、多国籍企業も利益を得た場所で税負担をすべきだ。」

今回可決された案により、タックスヘイブンのブラックリストへの切り込みや、銀行、タックスアドバイザー、企業への罰則を強化し、欧州は正しい方向へと歩みだす。

 

 

ピナ・ポール (Pina Pohl)

ヴィラ法律事務所

 

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2016年9月2日