2022 年 7 月 14 日付EU官報には、2022 年 7 月 12 日付欧州連合の民事・商事事項における外国判決の承認と執行に関する条約への欧州連合の加盟に関するEU理事会の決定が公示された。 (以下「本条約」という。)

本条約の目的は、司法協力を通じて多国間貿易と投資を促進し、外国判決の承認・執行に関する共通のルールで強化し、法的確実性を高めることにある。

適用範囲については、財政、税関、行政関連事項を除く、民事、商事判決の承認・執行にある。これには、判決国で強制力のある司法取引を含む。

当該「判決」には、解決に及ぶための全ての決定、つまり、裁判所命令や裁判所判決、および解決に関連する費用の決定等が含まれると理解される。

以下に挙げるような多くの事項が除外されていることに留意が必要である。つまり、自然人の場合(地位と能力、遺言、相続、維持、家族法の義務)、破産、(人と物の)輸送、越境海洋汚染、原子力損害賠償、法人の場合(有効性、無効性、解散、執行機関の決定の有効性)、登記簿の記載事項の有効性、知的財産、産業財産、自由競争の制限、仲裁と関連手続き、国家に関する場合(軍隊の活動および法の執行、国家の一方的措置によるソブリン債再編)、暫定および仮処分等が除外されている。

特定の事項に本条約を適用しない可能性の下、 EUは、加盟国内に所在する非居住用不動産のリースには条約を適用しないことを宣言している。

以下のような一般原則を定めている。

(i) 判決国裁判所が下した全ての判決は、  承認国が当該判決の是非を検討することができなくても承認・執行されること。

(ii) 全ての判決は、それが判決国において効力を有する場合にのみ承認され、判決国において執行可能である場合にのみ執行されるものとする。

(iii) 判決国において判決が確定していない場合、承認・執行を延期又は拒否することができる。ただし、その後の承認・執行要請の可能性を損なうことはない。

条件は以下となる。

a)被告となる者が、判決国にある裁判所における手続の開始時において、常居所又は主たる営業所を当該国に有していたこと。

b) 被告が判決国に支店、代理店又は恒久施設を有し、請求が当該支店、代理店又は施設の活動に関するものであること。

c) 被告が、明示的または黙示的に判決国の裁判管轄権を受け入れた場合。

d) 判決が以下の案件についてであること:

(i) 対象が不動産リースで、当該不動産所在国の裁判所判決であること

(ii) 判決国に所在する物権によって保証される契約上の義務

(iii) 死亡または人身傷害に起因する契約外の義務で、義務を生じさせた事象が判決国において発生したもの。信託、反訴、消費者及び/又は従業員に対する判決の場合の特別な規則が含まれる。特に、居住用不動産のリースや登記に関する判決は、不動産が所在する国の裁判所が下したものでない限り、除外される。

不動産にかかる物件に関する判決は、対象不動産が判決国に所在する場合にのみ、承認・執行される。

承認・執行の拒否の理由は、被告の防御権の侵害に関連する。つまり、承認・執行国における判決の送達の基本原則と矛盾する方法によって被告へ送達された場合、不正な判決や承認・執行要請国の公序良俗に反する判決、又は承認・執行国の裁判所が同一の当事者間で下した判決と矛盾する判決の存在、当事者が被った実際の損失又は損害を補償しない損害賠償などが挙げられる。承認・執行を拒否された場合でも、その後の更なる申請を妨げるものではない。

承認・執行のための必要提出書類は,以下となる。

(i) 判決書謄本

(ii) 不履行当事者に対する送達証明書

(iii) 判決国における判決確定証明書

(iv) 提出文書が承認・執行国の公用語でない場合には、公正翻訳文書

当該手続は、承認・執行国の法律に準拠するものとし、承認・執行国は、迅速に行動しなければならない。

最後に、当該条約は、 EU加盟国外の国が批准書、承認書又は加入書を寄託した時に効力を生ずる。

 

 

ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年9月9日