欧州連合の枠組み内において、ディストリビューション契約及び独占販売契約は、その性質上、競争を制限するものであるにもかかわらず認められている。しかしながら、テリトリーの保護は絶対的なものではなく、受動的販売は除外されている。垂直的協定第101条第3項の適用に関する2010年4月20日付欧州委員会におけるEU規則第330/2010号には、契約書に記載できる条項と記載できない条項に関するリストが含まれている。
また、2010年5月10日付で欧州委員会が通知をした垂直的制限に関するガイドラインには、テリトリーまたは顧客グループが排他的に割り当てられている場合、受動的販売が認められるべきであると規定されている。
欧州委員会は、「能動的販売」と「受動的販売」を以下のように規定している。
-「能動的販売」とは、当該特定の顧客グループまたは特定のテリトリーの顧客に対し、能動的にアプローチすることを意味する。
-「受動的販売」とは、勧誘がないにもかかわらず受けた個人顧客からの要求に、商品またはサービスの当該顧客への引渡しを含め、対応することを意味する。
一方、販売業者が商品の販売にインターネットを使用した場合、ウェブサイトは顧客が販売業者に到達する合理的な方法であること、また、インターネットは自社のテリトリー以外又は自社の顧客グループ外で効果を有することから、ウェブサイトを持つことは受動的販売の一形態とみなされる。
欧州委員会は例えば以下のような例を受動的販売のハードコア制限としてみなしている。
(a)(排他的)販売業者は、他の(排他的)テリトリーに所在する顧客が自社のウェブサ
イトを見ることの防止、または製造業者もしくは他の(排他的)販売業者のウェブサイトへ顧客を自動的に移動させる仕組みを自社のウェブサイトに設置しなければならないことの合意。もしくは、(b)顧客のクレジットカードのデータから当該顧客の住所が自社の(排他的)テリトリー外であることが判明した場合、(排他的)販売業者はインターネットを通じた顧客との取引を停止しなければならないとする合意。
その代わり、欧州委員会は、とりわけ一定の顧客を対象としたオンライン広告は、他の販売業者の独占権と互換性がないため、これらの顧客に対する能動的販売の一形態と考える。例えば、あるテリトリーにおいての検索エンジンや第三者のウェブサイト上にテリトリーを特定して掲載するバナー広告は、当該テリトリーに対する能動的販売の一形態とみなされる。
よって、製造者が販売業者に一国の独占販売権を与えた場合、契約テリトリー外において積極的な営業方針を実行することを防止することは可能であるが、ヨーロッパやスペインにおける競争に関する規範に反する可能性があるため、受動的販売を禁止することはできない。
ビシャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)
ヴィラ法律事務所
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2016年4月1日