当事務所の知的財産権に関する直近の記事の続きとして、本稿では、従来の勅令第687/2002号で規定された従来の枠組みを修正し、直近の改正商標法(法第23/2018号)によって導入されたメカニズムが有効に実施されるために、5月1日に施行がされた法第17/2001号(商標法)の施行規則(勅令第306/2019号)の改正点についてコメントする。
改正の順番に従って、最も重要な改正点について以下に述べていく。
商標によって与えられる権利の定義及び知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS合意)第16条第1項に直接関連するものとして、申請の目的となる印を有効な形式で使用してきた申請者は当該印の使用によって取得される特異性を主張することができる。
前回の記事でも触れたように、グラフィックによる標章の要件が廃止され、利用可能なテクノロジーにより適切であるものであれば、商標申請が認められるようになった(第2条)。これは、3D商標や位置商標、パターン標章、色彩、音、動き、ホログラム商標の登録を可能とするものである。これは、この規定に従えば、識別的な標章を形成するためのデジタルファイルも認められることになる。
明示的に排除はされていないものの、匂いについての商標申請は、米国のような法的システムにおける場合とは異なり、認められていないものと思われる。
商標法の直近の改正以降、いかなる法人または個人も国籍、居住地又は所在地に関係なく、商標や名前の申請をすることができることとなった。これに関連して、改正施行規則ではOEPMの検査官に対し登録を申請する主体又は団体について審査する権限を与えている。当該審査は職権によって開始することができ、申請者は主張をする期間として1ヶ月が与えられる(第10条)。
第21条bisの改正に伴い、異議申し立て人に対して商標の友好的な利用の証明を要請する可能性が導入される。これにより、友好的な利用がされていない商標に基づく異議の申し立ての全てが自動的に却下されることとなる。
これは「カバー商標」のような、実際には使用しないものの競業他社による類似商標の申請をブロックするための商標を数多く登録しているすべての会社のリーガルおよび商事戦略に直接な影響を与える。この要件があらゆる異議申し立てに対して適用されるのか、それとも5年以上登録された商標に限られて適用されるのかは、今後注視する必要がある。
同第21条は、商標の権利保持者がその使用を証明すべき際に満たさなければならない要件を詳述している。コマーシャルや写真、カタログといった、規則が提唱する一連の証明文書を提出しなければならない。
また、登録商標の権利者は、電磁的方法により更新手数料の支払いを行えば、その商標登録更新申請費用を抑えることができる。OEPMは登録期間終了の6ヶ月前に、権利者に対して通知をしなければならない。しかし、この法的命令は拘束力を有さない(第25条)。
代理人に関する第56条の変更は、おそらく海外企業にとって関心の高い事項であろう。改正規則により、あらゆる法人又は個人はOEPMに対し知的財産エージェントを通じる必要なく、法に従った証明を通じて、ある従業員を指定することで、連絡を取ることができる。
申請者及び商標権保有者に対する通知の送信に関して、当該条文はOEPMにとって利用可能なコミュニケーション方法であること、(ヨーロッパ経済圏内のあらゆる国における郵便の送り先住所であったり、その他の実行可能な技術的方法であったり等)のみを要請している。
無効及び失効手続きに関する条文について、改正法は異議申し立てのシステムと類似の基準を採用している。無効及び失効の申請書の内容にかかる要件(第58条)については特筆に値するだろう。
商標法の改正における条文と足並みをそろえて、無効及び失効の行政手続きの新システムの導入は2023年まで延期され、司法権に関する一般法の必要な改正を待っている状態である。
最後に、改正施行規則は遡及的効力を有しておらず、既に開始した手続きについては従来の規則が適用される。
デ・ラ・ベガ・イグナシオ (Ignacio de la Vega)
ヴィラ法律事務所
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2019年5月24日