I. 序文

去る2014年2月26日、欧州議会及び欧州評議会は、著作権及び関連する権利についての集団手続き及び国内マーケットでのオンライン活用のための音楽著作権の多国籍ライセンスの譲渡に関する指令第26/2014号を承認した。

これまで、スペインにおいては8つの権利管理団体がこれらの手続きを行なっていた(作家についてSGAE、CEDRO、VEGAP及びDAMA、アーティスト、演者または演奏者についてAIE及びAISAGE、プロデューサーについてAGEDI及びEGEDA)。本指令が国内法として移行されると、他のEU諸国で実施されている集団手続きの団体(例えばドイツのGEMA Gesellschaft für musikalische Aufführungs- und mechanische Vervielfältigungsrechte)と同様、上記団体は当該指令のガイドラインに自身を適用させなければならなくなる。

II. 目的

本指令の適用により、欧州は以下の目的を追求している。

1. 集団手続き団体における管理の徹底、財務処理、透明性及び情報の保証。特に下記要件について、当該代理団体はその遵守を厳しく求められる。

・透明性の保証として、実施した手続きについてあらゆる種類の関連情報を含めた年間レポートを作成すること。

・入会に際しては、客観的、透明かつ平等な基準に基づき判断がされること。

・著作権者が当該代理団体の持分総会(少なくとも年に一度は開催されるべきもの)において議決権を行使することを通じて経営参加することを容易にすること。

・当該団体の経営陣は独立性を保ち、著作権者の利益のために行動することを保証すること。

・著作権者に対して適切な方法で報酬を支払うこと。

・著作権者に対して支払うべき金額について可及的速やかに支払いを行うこと。遅くとも、当該収入が発生した事業年度の終了後9ヶ月以内に支払いがされること。

2. EU加盟国の一カ国以上におけるオンライン音楽著作権の多国籍ライセンス譲渡の簡易化により、シングル・デジタル・マーケットの実現化を図る。

具体的に言うと、指令に定められた要件を充たした集団手続き団体は、音楽著作物に関する権利の多国籍ライセンスをオンライン・サービス・プロバイダーに与えることができ、その結果、プロバイダーは一カ国以上のEU加盟国内で活用することができ、文化交流に資することとなる。

もっとも、権利の管理を依頼した集団手続き団体の如何にかかわらず、すべての作曲家が多国籍ライセンスへのアクセスを有することができるようにするため、多国籍ライセンスを与えるための要件を充たしていない集団手続き団体は、他の集団手続き団体に、平等に多国籍ライセンスを与えるよう依頼することができる。

III. 結論

本指令は、代理団体における手続きの透明性確保し、特に代理団体を利用する著作権者が自らの権利に関する情報の提供を受け、かつ、支払われるべき金額を受領するために必要な枠組みを制定する。また、すべての音楽著作権者に、平等に、自身の権利の管理を依頼した集団手続き団体とは関係なく、多国籍ライセンスへのアクセスを保証することを目指す。

本指令は、遅くとも2016年4月16日までにEU加盟国の各国内法に移行されなければならない。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2014年5月23日