デジタル単一市場における著作権保護に関するEU理事会及び欧州議会指令案は、2018年7月の否決を経て、9月12日付にてようやく承認された。当該新指令の名称が示す通り、オンライン上における著作権の使用を規制するもので、ライセンス及び電子出版プラットフォーム上にて尊重すべきコンテンツ・フィルタリング・システムの確立を定めるものである。
改正指令案の中でとりわけ議論となったのは、第11条及び13条に関するものである。
前指令法案第11条には、EU加盟国内でニュース配信及び新聞を発行する出版社に著作権を認め、第三者が発行物をネット上にて直接又は間接的に再利用する場合、許可又は禁止を可能とする規定があった。同様に、出版物の著作権は、発行翌年の1月1日から起算され20年間保護されると規定されていた。
しかしながら改正指令案は、以下のような案を導入した。
(1) EU該加盟国は、出版社及び著者が、「情報化社会におけるサービスプロバイダ」から「公平」かつ「適切な」報酬を受領することを保証しなければならないとした。当該新要件は、著作権者(コンテンツの出版社及び著作者の両方を含む)が、コンテンツを収集するオペレーター及びニュース・アグリゲータから「手数料」を受領しなければならないことを意味する。
(2) 著作権保護期間は20年間から5年間に短縮される。
(3) 本条にて規定される権利は、遡及適用されない。
これに対し13条の内容は、YouTube、 Facebook、Twitterといった大企業に影響を及ぼす規定であったため、さらに大きな議論対象となった。改正後指令案において以下の内容とされた。
(4) 大量の作品やユーザーの既読機能を保存するオンラインコンテンツ共有サービスプロバイダは、著作権者と公正かつ十分なライセンス契約を結ぶ必要がある。
(5) 上記サービスプロバイダは、「臨機応変かつ効果的な」苦情、異議申立てシステムを確立する必要がある。
本条項は、ビデオ及び著作権保護の対象となるようなコンテンツを配信する巨大プラットフォームに多大な影響を及ぼすが、適用されるのはプラットフォームそのものに対してではなく、配信を行うユーザーに対してである。また、コンテンツフィルタリングシステムは不十分であり、配信後にそれが実施される。
最後に、全ての情報拡散、ニュースのアグリゲータープラットフォームに当該条項が影響を及ぼすわけではなく、小さなプラットフォーム及び、小企業には影響しないことは特記に値する。
他方、ウィキペディアのような保護されていないコンテンツの百科事典や、保護出版物の教材として使用は、適切に出典元が示されている限り、本条項は影響しない。その際、コンテンツの発行元の事務所、会社の名前を示すだけではなく、容易に取得可能な場合は著者名も出典元として記載する必要がある。
ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)
ヴィラ法律事務所
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2018年9月21日