2022年8月9日付スペイン官報にて、2022年7月27日付法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)決定が公示された。当該決定は、ある合同会社(S.L.)の設立の公正証書の登記申請を、マオン商業登記所登記官が却下したことに関するものである。

本事案において、当該合同会社の会社定款には、取締役の報酬について「取締役は、株主総会によって定められる報酬によって、報酬を受け取る」との規定がされていた。

登記官は当該公正証書の登記について、資本会社法第23条e)により要求される会社の経営組織の報酬体系が不確定であるとして、登記を却下しなかった。

この却下通知に対して、会社は以下を主張し異議申し立てを行った。

定款は取締役報酬の金額やそのコンセプトを定めるのではなく、定款によって、株主総会に報酬額やコンセプトの決定が委ねられ、これは株主の権利及び経営組織のメンバーの権利の双方を保証するシステムである。

公文書管理局は、以下を根拠として、本件異議申し立てを却下し、商業登記官の評価を支持した。

取締役報酬システムに関しては、法定制限内での出資持分への参加、手当て、毎月又は毎年の給与、生命保険、年金プラン、個人的利益のための会社資産の使用、株式又はそれにかかるオプション権の供与、その他確立される可能性のあるシステム等、当該報酬システムを構成される内容について、定款に明確に定められていなければならない。

定款による規定を、取締役は毎年株主総会が同意する報酬にて報酬を受け取るという内容に制限することは、株主総会に具体的な取締役報酬システムの決定を委ねていることは明らかであり、これは、会社の現在または将来の株主、そして、株主総会における特定の過半数に自身の報酬が依存する取締役の双方にとって安定が欠如することを意味する。

結果として、取締役報酬にかかる事項を株主総会の将来の同意に委ねることは、資本会社法により明白に要請される条件を遵守しているとみなすには不十分であるとした。

 

ヴィラ法律事務所

 

より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。

va@vila.es

 

2022年9月2日