破産裁判所案件第一審では、共犯者と、有責な破産手続き関係者、それぞれに帰属する責任を十分に区別していないことは、比較的よく起こることである。

2021年9月14日付のスペイン最高裁判決は本問題を取り扱い、概念を明確にし、責任を区別した。

当該案件の第1審で下された判決は、破産手続において債務者の有責性を認める査定した上で 、以下を述べた。

(i) 本破産手続の関係者は、一方では破産法人の取締役、他方では2人の自然人および1法人(最高裁第3審で、共犯者とされた)であると確定した。

(ii) 本破産手続関係者全員に対し、5年間、他者の財産管理、取引の実行、会社での役員への就任もしくは会社に関与する権利を剥奪した。

(iii) 債務超過の赤字、その他の費用および金銭的負債の全体について、本破産手続関係者全員の連帯責任を宣言した。

(iv) 本破産手続関係者全員の破産債権者または優先破産債権者としての権利の喪失を宣言した。

(v) 裁判費用の支払を命じた。

第二審判決は第一審判決を覆し、2人の自然人および(第三審では共犯とされた)1法人に関するすべての決定を無効とした。

そして第三審となった最高裁判所では、破産手続きにおける幇助と共犯者の責任についての分析を行った。

A) 破産手続き上の共犯者について

  1. 共犯者とは、債務者の行為に対し、または債務者のために行為をする者に対し協力する第三者と定義され、破産手続きにおける有責性を査定するとした。共犯者と破産手続関係者を同時に申告することは、前者は協力者であり、後者は加害者であるから、適切ではないとした。
  2. 2016年1月27日付の最高裁判所判決第5/2016号と2017年3月29日付の最高裁判所判決第202/2017号を挙げ、共犯者とされるには、以下の2つの要件が必要であることを指摘した。(a) 破産手続きにおける有責性査定を左右する行為を実行した際に、自然人である債務者、または法人の代表者と協力 関係にあること(b) 故意または重大な過失の下に行われた協力であること。
  3. 共犯者であると査定するには、以下の要件を満たしている必要があると指摘した。

(i) 共犯を構成する行為の法的義務の実行と怠慢にかかる正確な記述がある

(ii) 上記記述は十分な証拠に基づくものでなければならない

(iii) 起訴、証明された共犯者の行為と、破産手続において有責判断の根拠となった債務超過の発生または悪化の原因となった行為との間に因果関係があること。

  1. さらに、共犯者の行為は、破産手続きにおける有責性査定を左右する行為に直接関連していなければならず、詐取の意図(「consilium fraudis」)または少なくとも債務超過当事者との共謀(「consciousius fraudis」)がなければならないと指摘された。

B) 共犯者の責任について

  1. 共犯者には、破産債務の補填負担を求められることはないと宣言した。これはスペイン破産法が、破産手続きにおける有責性を査定された特定の関係者のみを想定しているためであるとした。
  2. 同法は、一般的な帰結として、破産手続における債権者としての権利喪失、及び行為に応じたその他の特定な帰結(不当取得した資産及び/または権利の返還、損害賠償責任等)を定めている。
  1. 2019年3月6日付最高裁判決 第135/2019号に追随し、「損害賠償責任は、(共犯者が)参加した行為によって生じた具体的な損害の結果として発生し、その参加を考慮したものでなければならない」と述べ「破産手続における有責性査定の根拠について、共犯者が参加した行為と参加していない行為とを区別せず、当該行為への参加の重要性を考慮しない刑罰は認められない」とした。

本件では、共犯者の行為と債権者が債権を全額回収できなかった事実との関係性を証明できなかった。関係性が正当化できた補償可能な損害は、金銭的負債のみであった。

結果として、最高裁判所は以下を決定した。

(i) 上告人らを本破産手続における有責当事者から除外し、結果として責任なしとした。

(ii) 上告人らを共犯者であると宣言した。

(iii) 共犯者とみなされたため、破産手続きの債権者としての権利の喪失を命じられた。

(ⅳ) 発生した損害を連帯して賠償するよう命じ、その賠償額は認定された金銭債務の額とされた。

(v) 第1審で下された判決に含まれるその他の裁定を支持した。

(vi) 明示的な裁判費用負担を求めなかった。

 

ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年4月22日