スペイン株式会社(S.A.)の株主総会の招集については、現行法令である資本会社法第173条に規定がされているが、原則及び登記・公証局(DGRN)の前例に基づけば、すべての株主による連絡の受領が保証される限り、定款の定める内容が常に法令に優先するとされる。

2018年12月3日付官報で公表された登記・公証局の決定において、定款の定めとは異なる方法で招集された株主総会のケースで当該招集方法の有効性について検討がされた。

本件においては、ある株式会社の株主総会が、その定款で株主総会の招集は官報に公示すると定めがあったにもかかわらず、株主全員からの受領確認付証明郵便によって招集がされた。この株主総会の承認事項について公正証書を登記しようとしたところ、登記官は招集方法が定款の定めと異なることを理由に、登記を却下したため、会社が異議申立てを行った。

先に述べたとおり、株主総会の招集については、定款の定めに厳格に従わなければならず、定款の定めが法令に優先する。

これまで173条は度重なる改正がされ、現在の内容に至っている。これらの改正の背景には、招集手続きの簡易化とコストの最小化を図る立法者の目的があった。なお、本件において当該会社の定款規定は現行法の改正が行われる前に定められたものであった。

登記・公証局は本件会社の定款に、すべての株式が記名株式である場合には、取締役会は招集通知の公示を、各株主に対する法の許す形態での書面による連絡に代えることができる、との定めがあること、及び、本件会社の定款は株主総会の招集は、株主全員が会社の文書にて確認できる連絡先住所において受領が保証されるのであれば、個別かつ書面による連絡によって実施できるべきであると指摘した。本件については、株主総会の招集は株主全員に対して受領証明付き証明郵便による通知により行われたが、現行法の規定及び定款の目的と精神によれば、定款の解釈に反するところはないとした。

最後に登記・公証局は、定款の内容の一部又は全部に影響を及ぼすような法令の改正がされた場合には、単なる法の効力により新たな法が定款の内容に優位すると考える必要がある場合があることを確認し、定款の規定が新しい法令と両立できない場合は例外とされることを確認した。

 

 

露木 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2018年12月14日