I.- 序文

起業家法は、2013年9月19日にスペイン下院議会にて可決されたが、現時点において当該法は未だ官報での公示がされていない。

当該法は、とりわけ外国からの投資を奨励することにより、スペインの経済成長及び景気回復に有効な改革の着手の必要性に対応するものと考えられている。

本稿では主に、「国際的なモビリティ」、すなわち、スペインで一定額以上の投資を行う外国人に対するスペイン領内への入国及び在留、スペインへの投資、外国人起業家と企業活動等の容易化について検討する。

II.- スペインにおける外国人居住の容易化

当該法では、外国人の経済的理由に基づくスペイン居住を容易にすることを目的のひとつとしている。この恩恵を受けるには、以下のいずれかの要件を充たさなければならない。

–  投資家

–  起業家

–  高度な技術を持ち合わせている従業員

–  研究者

–  同一企業やグループ内企業間異動の従業員

なお、上記はEU国籍保持者には適用されない。

また、法はその第62条で、各査証や居住許可の一般要件以外の、査証及び居住の種類に応じた特殊要件を定めている。

なお、当該法は外国人のマネーロンダリング及びテロへの資金供与規制や納税、社会保障の義務については特に言及していない。

III.- 投資家

スペインで一定額以上の投資を行う外国人は、滞在査証、また、該当する場合には投資家用居住許可を申請することができる。

A) 適用条件 Ámbito Objetivo

一定額以上の投資とは以下のいずれかに該当する投資をいう。

1. 200万ユーロ以上のスペイン国債の新規取得、100万ユーロ以上のスペイン企業の株式取得、またはスペインの金融機関に100万ユーロ以上の預金の保有。

2. 査証申請者1人つき、スペイン国内に50万ユーロ以上の不動産の購入。

3. スペインにて一般の利益とみとめられるビジネス計画の実施。

なお、このケースの場合には、当該計画が一般の利益に資するものであることを示すために、投資家が査証を申請する地域の経済商務事務所が発行した承認通知が必要となる。

B) 居住許可の種類

  1. 投資家用居住査証: スペインにて最長1年間居住することが認められる。
  1. 投資家用居住許可: 既に上記の投資家用居住査証を取得済みの者が、その後もスペインに1年以上居住予定の場合に申請することができる。当該居住許可は2年間有効であり、その後更新する事が可能である(更新後の有効期間は2年間)。

従来適用されていた居住許可維持にあたってのスペイン最低滞在期間の規則(1年間のうち6ヶ月以上スペインに滞在しなければならない)は適用されない。

IV.- 起業家

1. 外国人はスペインで起業するにあたり、当該事業開始の諸手続きを行う目的として最長1年間滞在可能な査証を申請することができる。なお、当該事業が順調に開始されたことを証明することにより、スペイン居住許可を取得できる可能性がある。

2. また、スペインにおいて同法第62条の要件を充たす経済活動を目的とする場合における居住許可取得の可能性についても述べている。

なお、ここでいう起業活動とは、スペインに経済的利益をもたらすような改革的な内容の起業でなければならず、当該内容はスペイン中央政府の管轄機関から発行される証明書に記載されることになる。

 

 

ヴィラ・エドアルド

ヴィラ法律事務所

 

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2013年9月22日