しばしば、商品売買は国際的な性質を有す。同様に、本取引への適用法律上に規定のない場合には、枠組みの中で供給契約締結をすることなく、最低限の書類による、ダイナミックな方法で行われることも一般的である。

契約上の無規制は、適用法律はどこの国のものとなるのかという疑問を生み、具体的には、売買当事者に一番密接に関連する国の法律となるのか、1980年4月11日にウィーンで採択されたこの種の問題に関する国際連合条約が、当初の段階からで適用されるのかの検討が必要となる。一般にウィーン売買条約と呼ばれる本条約の6条は、売買当事者の居住地が本条約の締結国にある場合、その適用を除外、もしくは例外の設定が可能であるとしている。つまり、国際契約において前記の例外の設定がなされていない場合には、両当事者が一つの国に事業所を構えていない場合、通常ウィーン売買条約を適用すると結論づけることができよう。

現地の法律に代わってウィーン売買条約を適用することは、売買対象商品の不適合を表明するために定められた期間が、現地の法律より本条約の方が長く設定されているため、重要な措置となる。

商品検査の期限に関して、スペイン商法第336条では、買主は、数量及び品質の齟齬・欠陥の可能性判断のために、商品を受け取った時点で商品を検査しなければならない。前記に該当する場合には、請求行為を実行する権利を失わないためにも、売主にその旨を通知しなければならない、と規定している。

そして、同スペイン商法第342条は、商品の内部欠陥を通知するための期限を、商品の引き渡し日から30日としている。外観の欠陥ではない場合、もしくは容易に検出できない欠陥である場合、つまり、特殊機械のように特定の特徴や性能レベルを遵守する必要があるが、その適合性確認のためには、組み立て後、動作開始を行うまで、もしくは負荷試験を実行するまでは、法的に保証のない状態に陥らないための措置となる。

一方、ウィーン条約は、スペイン商法に規定されている期間よりもはるかに長い不適合の表明期間を提案しており、具体的な事情がある場合には、商法の規定する期限が切れた後でも買主が異議を申し立てることができるようになっている。ウィーン条約第39条では、適合性の欠如はその性質を特定した上で売主に伝達しなければならない、と規定するため、表面上の瑕疵と表面上ではない瑕疵とを区別する必要がある。

一般原則として、ウィーン条約第39条は、拒否の通知は「合理的な期間」内に行うことを求めており、教義的には、これを時間制限とみなしている。2020年7月6日付最高裁判所判決第398/2020号によれば、当該「合理的な」期間の判断のためには、商品の性質、適合性の欠如の明白性、瑕疵が明白か潜在的か、当事者間に存在する商習慣などの事案の状況を考慮しなければならない。また、この種の案件に関する教義や裁定によれば、生鮮品、もしくは品質や数量に明らかな瑕疵がある場合には、引渡日から4日から6日の間で、一方、表面上ではない瑕疵の場合には使用開始から2ヶ月から3ヶ月であるとした。

しかしながら、合理的な期間に関して、このような時間的解釈を画一的に信じることが、完全に正しいというわけではなく、むしろ実務上の指針として参考にすべきである。前述の最高裁判決は、期間の合理性は、債権の存在を明確にするという売主の利益と、商品が不適合と判断した場合の権利の行使という買主の利益とのバランスに連動している、という点を強調している。ケース毎の事情により、期間の変更が可能となる場合もある、しかし、当事者の利益のために、期限を延長することは困難であることにも留意するべきであろう。瑕疵の性質と、瑕疵の存在を把握、もしくは把握できたとみなす時期が、いわゆる「合理的」な期間の長さを決定するのは明白である。

複雑な生産ラインの一部に組入れるために、もしくは設置のため、及び試用運転のために技術者のサービスを要する個別使用のために購入した機械のような具体的ケースでは、試用運転結果を、製造者が発表している一般的な運転結果、あるいは売主と契約上合意した運転成果が達成されているかどうかを確認する必要がある。我々の見解では、不適合表明の期限は、単なる設置や純粋な試用運転ではなく、機械が合意通りに機能しているかどうかを確認できた時点によるべきであり、単なる設置日や、純粋なる真空動作日であるべきではない。合理的な期間の計算開始日は、試用運転実施日(試験結果が直ちに確認できる場合)、もしくは同時に結果が得られない場合は結果判明日とみなすべきであると考える。

いずれにせよ、ウィーン条約第39条は、不適合表明通知のための日付と期限の解釈に関し、一定の制限を規定している。

1) 一方では、期限の算出は、瑕疵を知得した時、または瑕疵が検出されるべきだった時を開始時とし、買主にしかるべき注意努力の義務を課し、買主による濫用を妨げる。これにより買主は、商品の状態検分のために遅滞なく行動し(ウィーン条約第38条)、不適合通知を発行することが義務付けられている。瑕疵が明白な場合、不適合表明通知のための日付は、商品を受領日と仮定しなければならないが、潜在的欠陥の問題である場合は、買主がその存在を知り、売主に報告する機会をそれまでは持たなかったため、買主が表明をした(またはするべきだった)日と仮定される。

同条約第38条は、「可能な限り最短の期間で」という表現の使用は、商品検分における買主の無関心を罰するものであり、「商品の受領時に」という表現を使用するスペイン商法第336条と同様であるが、先の表現はより柔軟性を示唆しており、条約第39条で使用されている「合理性」の概念に近いものである。スペイン商法が商品の受領後の即時性を要求するのに対し、ウィーン条約は、買主が(合理的に)入手する最初の瞬間を指しており、それは必ずしも厳密に商品の受領時に起こるとは限らない。同条約の柔軟性は、条約で定められた「最短」期間が4~6日、すなわち商法で定められた4日よりもやや長い期間であると考えられていることを裏付けるものとなる。

2) ウィーン条約で定められている不適合の届出期間は2年であり、商法で定められている30日よりもはるかに長い。上記期間は、商品が買主の手に渡った時点(契約上の保証期間に抵触する場合を除く)を開始点する。

言い換えれば、当該最長2年という期間は、主たる期間、つまり「合理的な」期間の補助的なものとして理解する必要があり、商品の受領後に瑕疵が顕在化し、購入者が、その潜在的な性質により、教義によれば2~3ヶ月前という合理的な期間を超えた期間に瑕疵を知得することができなかった場合に適用され、この「合理的な」期間の後に瑕疵が顕在化した場合にも適用される(2020年7月6日付最高裁判所判決参照)。上記により、今回の判決ではウィーン条約第39条2項に規定されている最長2年の期間内に不承諾の意思表示を行なった場合だが、意思表示のための合理的な期間を超えたものとみなされ、本行為は無効であると判断された。いずれせよウィーン条約第39条の期間規定は、買主が裁判所提訴のために有する期間とは異なるため、条約が解決策を与えない問題であるため、本件のためには、契約が最も密接に結びついている国の法律に従う必要があろう。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2020年7月31日