I.- 導入
2012年12月19日付判例第740/2012号により、最高裁は、OTAYSA, S.A.社の破産手続きの破産管財人によるマドリード地裁判決に対する抗告申立てを却下した。

当該最高裁判決は、 破産財団に損害を与える行為の取消しについてのものであり、近時の判例との関連で旧商法(Código de Comercio, 以下「Ccom」という。)第878条IIの解釈に焦点があてられ、かつ、現行倒産法(Ley Concursal法第9/2003号、以下「LC」という。)第71.5条も考慮に入れられた。

II.- 論点及び第一審・第二審の判決 

1994年、OTAYSA, S.A.社はAZATA, S.A.社と建物一棟について15年の賃貸借契約を結んだ。2000年3月、両社は当該契約の終了及び当時点におけるOTAYSA社の未払い債務について既に渡してあった保証金(318,536.41ユーロ)とAZATA社宛に振り出される108,426.24ユーロの小切手で精算することを同意した。それと同時に両社は、OTAYSA社がその業務を継続するために、当該建物の2フロアのみについての賃貸借契約を結んだ。賃貸借契約終了から15年後、OTAYSA社は支払延期の状態について申立てを行った。

2001年7月、コスラダ第一審裁判所第1法定は破産した日を遡及させて2000年1月1日と定めた。その後、2006年11月に破産管財人は、旧商法第878条IIの定めるところに基づき、OTAYSAがAZATAに行った支払が、遡及された期間内に行われたものであることを理由に、当該支払の無効を申請した。

第一審、マドリード地裁とも、破産債務者の生産ユニットがある不動産の賃貸借に相当する賃料の支払は、Ccom第878条から除外される通常の支払の典型的な例のひとつであり、OTAYSAの行為は破産財団に損害を与えるものではないとの理解を示した。さらに、当然のことながら、未払い賃料の支払は、特に建物賃貸借及びそれに続く2フロアの賃貸借(賃料は半額以上減額されていた)にリンクしていた。

III.-  最高裁判決

a) 破産債務者の取引及び商行為の一環としての処分行為最高裁は、破産債務者が事業を行う施設の賃貸料の支払は、通常の会社の業務行為とみなすことができるが、損害を分析することなしに遡及的適用から排除されるためには、 当該支払が通常の状態において実行されたこと、すなわち、定期的かつ規則的に行われたことが必要であるとした。本件については、何ヶ月分かの賃料の支払であったこと、その大部分が当時あった保証金から支払われていること、支払延期の申立ての15日前に行われたこと、及び賃貸借契約の更新を達成するためになされたことから、当該支払は通常の状態で実行されたとみなすことはできない。したがって、破産財団に損害があったかどうかを分析する必要がある。

b) 破産財団への損害の必要性上記支払が通常の状態で実行された通常の会社の業務行為とみなすことができず、かつ当該支払が支払延期の申立ての数日前に実行されたものではあるとしても、最高裁は、賃貸借契約の更新はOTAYSAにとってより利益が大きい状態でなされたことを鑑み、地方裁の判断は適切であり、実際の判例に沿うものであるとした。

IV.-  結論

本稿で検討をした判決において最も重要なのは、Ccom第878条II(現在では廃止)の解釈が現行倒産法(LC)第71.5条を考慮にいれてされることで、最高裁が制定した理論が実際の倒産手続きに適用されるという点である。すなわち、ある行為が取り消しの対象となるためには、ただ単に破産債務者の職業上の活動における通常行為外であること、もしくはそのような概念の範囲内ではあるが非常時の状況下でなされたものであることのみならず、破産財団を害する行為でなければならない。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2013年2月22日