今回のごく短い記事では、係争中債権の解除請求に関する直近判決、2019年9月13日付スペイン最高裁判所第464/2019号判決を例に係争中債権の取扱いに関し考察することにしようと思う。

債権譲渡に関しスペイン民法第1535条は、以下を規定する。

債務者は、係争中の債権を売却すること、つまり、支払金額、発生した費用及び、

支払日からの利息債務を譲受人に払い戻すことにより、本債権に対する解除権を有する。

債権は、同債権にかかる係争が提訴され被告によって受理され時から係争中債権とみなされることとなり、債務者は、譲受人の支払請求日より9日以内に解除権を行使することができる」

本件は、2011年法人Aが原告ら(自然人)に対し、結果として未回収となったローンの貸付けを実行したことに発端する。2013年法人Aは本件債権回収裁判を提訴し、両者は数年間にわたる分割 (月) 払いする判決執行に合意した。

2014年法人Aは、本件債権を法人Bに譲渡した。2015年原告らは法人Bに対し、本件債権は係争中債権であるとして債権解除請求を提起した。

第一審、第二審においては、原告の請求が認められた。法人Bが法人Aから購入した債権を原告は取戻す権利を有することに言及し、法人Aに対し価格を払い戻すことで債権は解除されるとの判断を示した。

法人Bは、民法第1535号の解釈に関する最高裁判所判例(1991年2月28日付最高裁第149/1991号判決、2006年2月28日付第192/2006号判決及び、2008年10月31日付第976/2008号判決)を例に、係争中債権のコンセプトに関する判例法主義に反するとして、本件を上告した。

上告人である法人Bは、具体的には、譲渡時には本件譲渡債権に関する判決は確定しており、債務支払い合意に沿って回収が実行されていた。故に、本債権を係争中債権とはみなすことはできないと主張した。

最高裁判所は、民法第1535条は、係争中債権とみなされる起算日(被告による訴状受理日、本件の場合、答弁書提出期間が経過した日)を規定しているものの、完了日を規定しない、と直近の判決にて言及した。そして、係争中債権の完了日を決定するために、1969年12月16日付最高裁判決第690/1969号を引用し、確定判決、若しくは、下級審判決を支持する上級裁判所判決及び債権執行、または当該ケースのように他の取引の合意に至ったことによる債権執行手続きが停止した場合を挙げた。

即ち本件の債権譲渡時には、本件債権は、確定判決によってその存在、執行可能性、金額が確定されていたことから係争中債権としての性質を有していなかったとし、係争中債権としての解除権請求を却下した。

 

 

ヴィジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

 ヴィラ法律事務所

 

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2019年10月31日