不動産ディベロッパーへ住居購入費の一部を建設費用の前払いとして支払った住居購入者は、法律により特別な保護を与えられている。

廃案となった法律第57号(1968年)及び現行法第38号(1999年)の附則第一のいずれにおいても、保険の適用もしくは銀行保証により、前払いとして受領した金額の返金を保証する義務が不動産ディベロッパーに課せられている。このため、住居の建設が開始されない場合、または住居の引き渡しが期限内に完遂されない場合には、住居購入者が前払いした金額は返金が保証されている(このような状況は、多くの不動産ディベロッパーが債務超過に陥った今日の経済危機下において珍しいことではない。)

法の定めるところにより、住居購入者が前払いした金額は「専用」銀行口座に入金されなければならず、同口座の開設時に当該金融機関は不動産会社に対し、前出の保険もしくは銀行保証を自己の責任において設定するよう要求しなければならない。

これによると、保険、銀行保証、あるいは「専用」預金口座開設時に保証を要求するという金融機関の義務により、不動産ディベロッパーに支払った前払い金は確実に保証されるようにみえる。

もし不動産ディベロッパーが保険や銀行保証の設定を要求する義務を負わない 「通常の」 預金口座で住居購入者からの前払い金を受け取った場合はどうなるのか。金融機関は同じように住居購入者に対し不動産ディベロッパーと連帯して責任を負うのだろうか。

このようなケースにおける最高裁の見解が先日示されている(2015年12月21日付判決第733号)。この判決では 「自己の責任において」という文言は、「特別」口座開設にあたり不動産ディベロッパーに保険もしくは銀行保証を要求するという銀行に課せられた前出の法定の義務を指すとして、広義に解釈されるべきとの判断がされた。

つまり最高裁はこの判決により、金融機関に課された法定義務は「特別」口座開設時の保険もしくは銀行保証の設定を要求するにとどまるものではなく、実際には不動産ディベロッパーを監視する特別な義務をも前提とする旨を示し、以下の内容の判例を定めたと言える。

「「特別」口座の開設や該当する保証を要求することなく、不動産ディベロッパーの口座への住居購入者からの入金を受け付ける金融機関は、同機関に不動産ディベロッパーが保有する口座に前払い金として住居購入者により振り込まれた全額について住居購入者に対し責任を負う。

 

ヴィラ法律事務所

 

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2016年3月4日