企業間異動居住・労働許可(Autorización de residencia por traslado intraempresarial)は2013年9月29日施行の起業家と国際化支援に関する法(以下「起業家法」)(Ley 14/2013, de 27 de septiembre, de apoyo a los emprendedores y su internacionalización)により導入された、同一グループ企業内における転勤者向けの居住・労働許可である。転勤者向けの居住許可として、移民法が定める「Transnacional」居住許可が既に存在していたが、上記法による新しい居住・労働許可は、グループ企業間でEU以外の国からも人材を異動しやすい状況を作ることで国際的企業グループの事業活動を円滑にし、結果としてスペインの経済成長促進につながることを目的としており、移民法の国内労働力の保護とは異なる視点に基づいている。

具体的には、Intraempresarial居住許可は以下の点においてTransnacional居住許可と異なる

  • 居住・労働許可の更新頻度が1年ごとではない。
  • 管轄は移民局ではなくマドリードのUnidad de Grandes Empresas
  • 家族について帯同家族用の居住許可を同時に申請可能。
  • 書類の申請から承認までにかかる時間の大幅短縮。

また、欧州議会及び欧州理事会2014年5月15日付指令第66号を国内法に反映した2015年7月の起業家法の改正により、企業間異動居住・労働許可は以下の二つに区分されることとなった。

(a) Autorización de residencia por traslado intraempresarial ICT-UE

この種類の居住・労働許可は、役員、専門職、または研修者として、EU域外の企業からスペイン国内にある当該企業の支店・子会社または当該企業と同じ企業グループに属する スペイン企業に一時的に派遣される場合に申請が可能である。

この居住・労働許可の最長期限は、役員に支給される場合は3年間、専門職または研修者の場合には1年間とされる。

(b) Autorización nacional de residencia por traslado intraempresarial

この種類の居住・労働許可は上記(a)のケースに当てはまらない場合または上記の最長期限を経過した場合に申請が可能である。

 

 

大友 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2016年5月13日