スペイン最高裁第二法廷は2022年6月2日付判決において、知的財産権に関する罪科の範囲を限定した。

当該判決では、直近10年間で急増したよく知られる現象である、スポーツイベントの転送又はストリーミング及びこの行為がスペイン刑法第270条の定める犯罪行為に該当する可能性について判断がなされた。

本件において最高裁により検証された事実は以下のとおりである。

被告人は、自身が経営する3件のバーにおいて、承認なしに国内プロサッカーリーグの試合の転送放送を継続的に行なっていた。試合の放映権はリーグが所有している。

第一審判決では、被告人の行為は、マーケットと消費者に対する軽微な罪であったとして、被告人に対し、1日あたり12ユーロの割当で2ヶ月間の罰金を科した。当該判決に対し、検察及びスペイン国内プロサッカーリーグは、本件において取り扱われる事実は刑法第270.1条に定める知的財産権に対する罪を構成すると主張し、既に有罪判決を受けているマーケット及び消費者に対する罪の可能性を損なうことなく、控訴した。

当該問題について、最高裁は、スペイン勅令法第1/1996号第120条以降を参照し、視聴覚素材の録音及び放送事業体の放送は、知的財産権の重要な内容の一部を構成する余地がないとし、これら録音の一般放送は適切な承認がある場合に限り合法であるとした。

また、これらの権利侵害が、刑事的制裁対象となることは問題外であることを明白にした。

しかし、最高裁は、ある施設内でスポーツイベントを放送する際に、放送権を支払うことなく放送する行為は、刑法第270.1条の犯罪行為に適合することを否定した。

当該条文において、6ヶ月以上4年以下の懲役刑及び12ヶ月以上24ヶ月以下の罰金が科されることになるのは、「直接または間接的に経済的利益を享受し、かつ、第三者に損害を与えることを目的として、文学的、芸術的、科学的作品又は活動の一部または全部を複製、盗用、配布、一般公衆へ伝達、又はその他の方法で経済的に利用する」という行為である。

最高裁は、スポーツイベントが当該条文において保護される著作権の詳細、すなわち、「文学的、芸術的、科学的作品又は活動」に合致することは難しいと理解した。

判決は、もしそのような結果を望んでいたならば、立法者は、この犯罪行為の構成要素の「文学的、芸術的、科学的」という修飾子に「スポーツ」を含めることができたはずだと指摘している。

最高裁は「この用語の省略により、芸術的、文学的、科学的創造物が提供する型にスポーツイベントが含まれるという強制的な解釈を強いることとなるから、合法性原則(罪刑法定主義)が優先されるべきである」とした。

結果として、最高裁は上告を棄却し、マーケット及び消費者に対する軽微な罪とした第一審を確認した。

 

 

クアドラド・アレシュ (Aleix Cuadrado)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年7月15日