去る11月4日、改正知的財産法が承認された。同法は2015年1月1日より施行される。この法によりいくつもの重要な点が導入されたが、とりわけ着目すべきなのはインターネットにおける著作権保護である。本稿では特に興味深い点について以下概要を述べる。
a)「Tasa Google」問題
最も問題を惹起する内容の一つは、「オンライン上の情報の集合体を電子的に提供するプロバイダー」による公正な補償義務の導入である(いわゆるTasa Google問題)。すなわち、情報提供の目的をもつコンテンツの著作者への公正な補償を、ポータルサイト運営者に強制的に義務づけるというものである。これにより、GoogleニュースやBingニュース、Yahooニュースなどといったポータルサイトの運営会社は、サイト内にリンクを貼る記事の著作者に対して使用料を支払わなければならなくなる。
この使用料については、Google等の企業によって、一時はスペインにおけるGoogleニュースのサイト閉鎖を示唆するほど厳しく批判された。当該補償は不当であり、リンク先の著作物を普及し、それらに著名性を与えることこそが彼らの業務であるとの議論も出された。
留意すべきなのは、本件はドイツ、フランス、ベルギーにおいて既に議論の対象となっており、最終的にGoogleは出版社と協力関係を結ぶ合意に至っている。
b) 大学による使用料
2015年11月5日以降、大学は著作物または出版物の私的複製について公正な補償を支払わなければならない。複製は1章のみまたは全体の10%に満たない範囲に留まらなければならず、この場合であっても使用料の免除はされず、管轄機関を通じて使用料が徴収される。
c) ダウンロード・リンクサイトの排除
スペイン国内で保護されているコンテンツのダウンロード・リンクを撲滅するため、知的財産委員会第二部の役割を強化する。具体的には、 違反者の定義をリンクサイトのドメイン所有者にまで拡大し、当該リンクが本来の所有者ではなくネット・サーフィンを行なう他者により貼られた場合(例えば、コメント欄への書き込み)であっても、これに含まれるとする。
また、改正法は、電子的方法による支払いまたは出版等を行なう中間・サービス・プロバイダー(例えばHosting等)に対しても協力義務を課す。知的財産委員会への協力義務を怠る場合には罰則が適用される可能性がある。
適用される罰則は、150,000ユーロから600,000ユーロの罰金であり、2015年1月5日より適用可能となる。
d) インターネットにおける違反者特定のための新しい法的メカニズム
本法は知的財産権の保護に関する民事執行法の改正を伴う。具体的には、会社情報の提供、電子的支払い、広告のサービス・プロバイダーは、裁判所から要請があった場合には、自身のサービスのユーザーの情報、すなわち、当該ユーザーが知的財産法によって保護されるコンテンツを直接または間接的に処分可能な状態または散布していることついての合理的な証拠を提出しなければならない。
これにより、P2Pプログラムによる違反取締まりを実行するための道が整えられたと考えられる。
ヴィラ法律事務所
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2014年11月21日