多くの企業が自社製品の海外販売を決定することは、国際的なレベルでの潮流である。製造業者は、特定の国で製品を(再)販売するために、その製品に関連のある販売会社と契約関係を結ぶことがある。

このような場合には、製造及び販売の各当事者は、ディストリビューション関係、各自の権利・義務を規定するために、販売店(ディストリビューショ)契約を締結するのが常である。しかし、両当事者がディストリビューション関係の詳細について口頭で合意することもある。将来、当事者の一方が口約束を違反した場合や契約関係を解消することになった際に、このようなケースでは一定の困難を伴う可能性がある。

販売店契約が両当事者間において書面によって締結されていないような状況下では、まず、販売店契約の存在を推認させるような文書が存在するかどうかを検討することが必要となる。この意味において、すべての契約は、口頭もしくは書面により存在できることを指摘するのは好都合といえよう(スペイン民法1.278条による理解)。口頭契約の場合、商取引関係期間中に両当事者に起こった事実や行為に明示されるので、商取引関係における当事者間の既存の合意が何であるかを判断することが可能な、販売店関係や行為に関する既存文書の内容に従うことが適切であるといえる。

上記の観点から、一方または双方の当事者が販売店関係の終了を検討する場合、販売店契約の規定に従い契約終了を書面により明示的に示すべきである。そうでない場合は、既存文書または行為から生じる当事者間の合意に従うべきである。両当事者が販売店契約の終了を検討しているが書面契約がない場合は、契約関係の終了条件を正確に記載した終了契約(書面によることが望ましい)を正式に作成し、顧客譲渡契約の有無、契約解釈および当事者間で将来生じうる紛争解決のための準拠法および裁判管轄の決定に特に留意するべきである。

書面による販売店契約が存在しない場合、準拠法に関連する問題が特に注目される。この場合、契約解除という目的のために、どの文書または手続きに基づいて準拠法を決定することができるかが決定されなければならない。両当事者によって準拠法の選択決定ができない場合、その解決策は、契約債務の準拠法に関する規則(ローマI規則)に関する2008年6月17日の欧州議会および理事会EC規則第593/2008号の第4条第1項f)の規定に従うことである。これにおいては、両当事者間に、契約解除目的で合意した国の法律、合意がない場合は、販売業者が常居所を置く国の法律を準拠法と確定するとしている。

上記から、書面による販売店契約が存在すると、合意解釈と範囲の決定を非常に容易にすると結論づけられる。なぜなら、そのような場合には、様々な側面(販売地域、顧客の譲渡、知的財産、契約解除、準拠法、裁判管轄等)について両当事者間で合意された内容を検証することが可能であるからである。

契約関係及び契約条件に関し、各契約当事者が自由に解釈するような可能性に扉を開く口頭契約の不確実性は、至極明白である。

スニガ・アルベル (Albert Zúñiga)

ヴィラ法律事務所

 

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2023年2月17日