2020年3月14日スペイン政府は即日施行とする勅令第463/2020号を承認し、スペイン憲法第116条、及び基本法第4/1981号に従い国家非常事態を宣言した。

国家非常事態宣言とは、一連の特別措置の採択を政府に許容するもので、スペイン国民及び在留外国人、スペインに拠点を置く法人及びその労働者に影響を与えることとなる。

スペイン政府首相の指揮下にある4省が管轄当局となる。

非常事態宣言の初回期間: 15日間(自然日)。ただし延長の可能性あり。

特筆すべき措置は以下となる:

a) 市民は管轄当局の業務を妨害することなく、協力する義務がある。

b) 移動の自由の制限: 非常事態宣言が継続中、市民は以下の各項目に該当する場合に公道を利用する権利を有する。

    • 食料品、薬品及び生活必需品の購入。
    • 医療機関及び病院への通院。
    • 職場と自宅の往復(自家用車もしくは公共交通機関の利用が可)。
    • 高齢者及び介護必要者の補助。
    • 銀行及び保険事務所への移動。
    • 不可抗力事由及び不可欠な場合の移動。
    • その他、上記に類似する行動。ただし正当事由がある場合を除き、単独での行動が求められる。
    • 車両の燃料補給。
    • 内務大臣は、道路または道路の一部の閉鎖、又は車両制限を決定する可能性があり、措置は国民に公表する。
    • 公的職務を遂行する大使館・領事館員及びスペイン国内に機関を有す国際機関職員である外国人は、当該制限外とする。

c) 大学を含む出席を要する教育活動は一時停止するが、オンライン教育は継続する。

d) 以下の例外に該当しない店舗及び商店の営業は停止:食料・飲料品、生活必需品(食料品店やスーパーマーケットを含む)、薬局、美容院、病院、新聞・雑誌販売店、ガソリンスタンド、たばこ販売店、技術機器及び通信業者、ネット販売業、クリーニング店及びコインランドリー店舗。

e) ホテル及びレストラン業の営業の一時停止。ただし、ケータリングサービスは可能とする。

f) 以下にあたる場所の営業は一時停止とする: 美術館、図書・資料館、公共の催事、映画館、劇場、幼児遊戯場、バー、居酒屋、ワイナリー、カフェ、アイスクリーム屋、バー・レストラン、テラス、動物園も含むスポーツ及びレジャー活動の場。

g) 集団交通機関関連

    • 道路、鉄道、地下鉄、航空機、船舶等の公共交通サービスは、50%に縮小し、維持する。
    • 近郊線・通勤電車に関しては、現行のサービスを維持する。
    • 自治州もしくは市との公共契約よる交通サービスも、現行のサービスを維持する。
    • 上記サービスのパーセンテージは交通省の基準によって変更の可能性がある。
    • サービス提供者には、厚生省の規定に従い毎日の車両清掃・消毒の実施を義務付ける。

本勅令において当該措置は、労働者の通勤手段の確保を目的としている事を強調している。

h) 食糧供給: 管轄当局は、消費者に対し食糧及び生活必需品の供給を保証する措置を採る。

i) 税関: サービス提供を続行する。また、続行可能とする措置を保証する。

j) 制裁: 当局は命令違反者を処罰できる事の認識は重要である。法令遵守と従順さが求められる。

k) 行政手続期間: 条件は中断され、公的機関における手続き処理の終了期間は一時停止となる。したがって、案件の承認、公的登録、ライセンス・許可証公布等に遅延が出ることとなろう。主官庁は、対象者の利害と権利への重大な損害を回避するための措置を採ることが可能だが、詳細に関しては、現時点では不明である。

本勅令は、政府が以前に当該危機に関連して公表した、例えばコロナウイルス に感染した、もしくは隔離された専門職や労働者の休職に関する措置等も有効とした。

結論として、上記に挙げた措置は、一国の麻痺状態とみなすのではなく、経済機能に必要のない活動や公共サービスの提供の減少を意味し、同時に、ある種の自然人や法人の権利の一時的制限を強調することが重要となる。また、このような措置は、発生しうる状況や効果の進展次第では修正の対象となりうることも、ここに記す。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

更なる情報を知りたい方は以下までご連絡下さい。

va@vila.es

 

2020年3月16日