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I. スペインへの外国からの投資

2020年11月17日付にて、スペイン政府は、国内における外国投資に関する法第19/2003号を改正する勅令法を承認した。当該改正は、2020年の第3回目の改正となる。

本件のつき、以下に特筆すべき点を概説する。

スペイン勅令法第34/2020号にて改正前、法律第19/2003年第7条改正条項にはこう書かれていた。

「スペインにおいては、外国人投資家がスペイン会社の株式資本の1%以上の株式を保有している場合、もしくは、会社取引、会社行為、法的取引の結果として、投資家が当該企業の経営や管理に効果的に参加している場合、これらを全て、外国直接投資とみなす。」

2020年11月18日以降は、当該条項は以下の様になる。

「スペインにおいては、外国人投資家がスペイン会社の株式資本の1%以上の株式を保有している場合、もしくは、会社取引、会社行為、法的取引の結果として、投資家が当該企業の経営や管理に効果的に参加している場合で2007年73日付独占禁止法に関する法律第15/2007号第7条第2項に定められた基準に従って、対象企業のコントロールを獲得した場合、これらを全て、外国直接投資とみなす。」

上記黒字にて強調されている部分が、今回の変更部分となる。

一方、法律第15/2007号第7条第2項目は次のように規定している。

“前述の目的のためには、コントロールとは、契約、権利、もしくはその他の手段の結果として、事実上および法律上の状況を配慮した上で、会社に決定的な影響力を行使する可能性を与えるものとし、特に以下のように定めている。

a) 会社の資産の全部または一部の所有権もしくは使用権

b) 会社組織の構成、審議、議決に決定的な影響を与えることを可能にする契約、権利もしくは、その他の手段

いかなる場合でも、1998年7月28 日付証券市場に関する法律第24/1998号第4条に規定されているシナリオが発生した場合には、コントロールが存在するとを理解する必要がある。同法第4条は、「企業グループ」及び、支配会社、従属会社の意味を定義する、スペイン商法第42 条に言及する。同法第42条は以下を定める。

“企業グループは、ある会社が他の会社または他の複数の会社に対し、直接または間接的に支配権を保持しているか、または保持する可能性がある場合に存在しうる。具体的には、支配会社と分類される会社が、従属会社と分類される他の会社と関係を持ち、以下のいずれかの状況が生じた場合には、コントロールがあると推定される。

a) 議決権の過半数を有する

b) 経営機関構成員の過半数を選任、及び解任する権限を有する

c) 第三者との契約に基づき、議決権の過半数以上を有する

d) 経営機関構成員の過半数を選任するために議決権を使用していること (…) 。従属会社の経営機関構成員の過半数以上が、支配会社の経営機関構成員または上級管理職(…)である場合に推定されるものとする

本勅令法第34/2020号による改正前は、定められた「会社の経営またはコントロールに実質的に参加する」という概念の規定が困難であることに、事業者は戸惑いと懸念を示していた。本勅令法第34/2020号規定は、「会社のコントロール」についてのみ言及しており、こ「コントロール」とは何かという疑念の回避のために、当概念を定義する2つの規則の参照を促している。

最終的に、もう一つ重要な変更点に言及する必要がある。勅令法第34/2020号には、唯一の一時的規定として、スペイン上場企業に対する、もしくは非上場企業であっても投資金額が5億ユーロを超える場合の外国からの直接投資の一時的な自由取引の停止措置が、投資がEU加盟国もしくは欧州自由貿易連合加盟国の居住者によって実行されている場合には、2021年6月30日以降(当日は含まれない)解除されることを定めた。当該措置は、ヨーロッパ内の投資市場のブロックを部分的に解除するものであるが、EU加盟国以外からの投資には適用されない。投資家が会社の支配権を有しているか、株式資本の25%以上を有している場合、もしくはEU加盟国もしくは欧州自由貿易連合加盟国の居住者である場合、投資家は当該地域の居住者であると理解されることを念頭におく必要があろう。

II.出資者(社員)/株主総会の開催

勅令法第34/2020号の第3条は、2021年の間は一時的な措置として、電子的または遠隔での出資者または株主の総会の開催を認めることを規定している。

a) 株式会社:取締役会は、非上場会社についてはスペイン資本会社法第182条及び第189条規定、上場会社については第521条の規定に従い、定款に定めのない場合も、株主総会の招集にあたり、電子的手段による出席および遠隔投票を行うことができるとしている。

b) 有限責任会社:定款に規定がなくとも、以下の条件を満たせば、複数人のテレビ会議または電話会議で出資者(社員)総会を開催が可能であるとしている。(i) 出席権を有する出資者(社員)全員またはその代理人が出席に必要な媒体の使用が可能である事(ii)書記役が出席者の身元を確認し、その旨を議事録に記載していること。(iii) 議事録は、総会終了後すぐにそれぞれのEメールアドレスに送信されること。

III. 破産手続開始の申立て

2020年9月18日付法律3/2020号の修正により、破産申請義務の一時的な停止が確立された。これは、司法行政の分野におけるCovid-19に対処するための手続き上および組織上の措置となる。勅令法は法律3/2020号第6条を以下のように修正する。

第6条:破産手続開始の申立てのための特別制度

  1. 2021年3月14日までは(当日を含む)、債務超過状態にある債務者は、債務者が債権者との間でリファイナンスの合意、裁判外支払和解契約、または予想される和解案に合意するための交渉の開始を管轄裁判所に通知したかどうかにかかわらず、破産手続開始の申立てをする義務を負わないものとする。
  2. 2021年3月14日までは(当日を含む)、裁判官は、2020年3月14日以降に提出された債権者破産の申請を却下するものとする。2021年3月14日までの間に、債務者が任意の債務者破産の申立てを提出した場合は、申請日が債権者破産の申立て日より後であるとしても、優先的に審査されるものとする。”

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2020年11月27日