スペインでは、労働者憲章法(el Estatuto de los Trabajadores)及び社会法制調整法(Ley Reguladora de la Jurisdicción Social)で解雇について規定をしている。

雇用関係解消の原因として、法は経済的・技術的・組織的または生産の要因に基づく解雇についての規定を備えている。

スペインでは、 解雇が従業員各人の個人的状況に与える影響を鑑みることなく、企業経営者が解雇対象となる従業員の選別や従業員数の削減を自由に定めていることは特記に値するだろう。しかしながら、差別的要因に基づいて雇用関係を解消することはできず、労働者の基本的人権を侵害することもできない。また、労働代表者に限っては自由に解雇することができない点については留意する必要がある。

どのような状態が雇用関係解消の原因となり得る経済的、技術的、組織的または生産の要因に該当するのか、以下述べる。

経済的要因:本要因は会社が下記のような経済的窮地に陥った場合に認められる。

– 損失を被っている会社であること:  当該損失は継続的である必要も、甚大である必要もないが、現実に生じている損失でなければならない。

– 将来的に損失が発生することが予測できること:この要件は、現状の経済状況及び入手可能な将来のデータから会社が損失を被ることが予測できる場合に認められる。将来に関する予測や仮定に根拠を置くことを考えると、本解雇要因は立証が困難である。

– 収益が継続的に減少していること: 連続した3四半期における定期収入または各四半期の売上げが、前年同期を下回る場合が該当する。そのため、会社は、利益がある場合であっても、本要件の定める経済的窮地にあるとみなされることが可能であり、したがって、雇用を削減するための合理的理由が存在することになる。

技術的要因:会社が新しい機械や生産方法を導入した結果、雇用人数が縮減される場合が本要因に該当する。会社がこれまでマニュアルで行なっていた行程を機械化する場合は概して本要因に該当するものといえる。

組織的要因:部署整理や事業所の整理等、会社の業務や組織の仕組みを変更した場合が本要因に該当する。

生産の要因:会社の商品の生産やサービスの提供の需要の変化がある場合が本要件に該当する。特に、会社が受ける注文数が顕著かつ断続的に減少し、その結果、生産またはサービスの需要と従業員数との間に不均衡が生じてしまうような場合である。

企業経営者は主張する解雇要因に関する完全な証拠を提出する必要はないが、それを証明するに足りる証拠及び弁論を提出しなければならない。

また、実施された解雇の客観的要因の大半ではないが、その評価のため、問題となっている会社の詳細かつ個別の分析が求められることは留意する必要がある。

 

ヴィラ法律事務所

 

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2015年2月27日