2019年6月13日付の決定において、登記・公証局(DGRN)は、破産管財人の前事業年度の計算書類を提出する義務に関する非常に興味深いケースについての判断を下した。当該事案にて決定が出された前提事実は以下の通りである。

破産手続き中のDPÑANA TURÍSTICA, S.L.の管財人は、2017事業年度の計算書類を作成し2019年1月4日に商業登記所への登録のために提出した。提出された一件書類を精査の後、マドリード商業登記所登記官Jesús María Del Campo Ramírez氏は以下の理由に基づき、計算書類の登録を却下した。

「商業登記規則第112条、第8条及び第366条及び登記・公証局決定12/03/06号が要請する、計算書類を承認する株主総会議事録の決議証明書が提出されていない。」

上記商業登記所の却下通知について、2019年3月15日、倒産法第46条第1項の規定によれば、会社が破産・清算中である場合には株主総会による会社の計算書類の承認がされた旨の証明書の提出は不要であり、破産管財人が計算書類の作成を行い、必要な場合には計算書類の監査を受けるとされているだけで、計算書類の登録に先立って株主総会の承認がされなければならないという必要性に関する規定はない、との主張のもと、異議申し立てがなされた。

会社が破産中である場合に計算書類が承認されなければならない義務が残るのかと言った問題は学説の議論で何度も取り上げられてきたが、登記・公証局は、提出された異議申し立てを却下し、資本会社法第272条、第371条第3項及び第388条第2項の適用がされる旨を確認した。

しかし、本事案とは関係ないとしたうえで、登記・公証局は、その決定において、会社が破産手続き中の場合に、破産管財人がその報告書において記載した情報によってすべての利害関係人の保護が保証されるのであれば、当該手続きの担当裁判官は「事件の具体的な状況(株主と破産管財人間での紛争やオーバーコストの発生等)に即して」会社の計算書類承認義務を免除することができる可能性があると付け加えた。

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

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2019年7月25日