I.- 序文

スペイン企業である SERCATRANS LOGÍSTICA 2000, S.L. (以下、「SERCATRANS」という。)は、取締役は経営者の役割を担う者または経営のトップ陣である場合にのみ報酬が支払われる旨の規定を設ける定款変更を行った。

しかしながら、Huelva商業登記所は当該定款変更について商業登記規則第6条並びに第50条及び資本会社法第217.2条に反することを理由に、登記しないことを決定した。当該評価についてSERCATRANSは登記所及び公証人協会(Dirección General de los Registros y del Notariado。以下「DGRN」という。)に対し異議申立てを行った。

II.- 決定の根拠

DGRNがその決定において、特定のケースにおいて経営組織のうちの何人かのメンバーにのみ報酬が支払われることは可能であることを確認したことは強調に値する。これは経営組織が複雑な構成である場合に起こることであり、各メンバーの職務がその役職に従って客観的に区別されることが可能である。したがい、例えば、代表取締役のみに報酬が支払われるとすることは適法である。

しかし、この区別は共同経営や連帯経営の場合には不可である。なぜなら、そのような形態では、経営組織のメンバーの各人に対し同じ職務が与えられているからである。

III.- DGRNの決定

SERCATRANSの経営システムは一人取締役によって構成されていたことを鑑み、DGRNの決定は当該会社からの異議申立てを却下し、下記2つの理由から登記官による評価を確認した。

  • 法の定めにより、すべて同等の職務を行う機能がある取締役の報酬について、当該条項は不平等に取り扱うものであった。
  • 当該条項は、取締役が与えられた職務を実行したかについて株主総会の決議を求めるものとなっており、これは、取締役の報酬の有無について定款によって定めることを求める法に明らかに反する。株主総会は報酬の金額を決定することはできるが、その存否について決定することはできない。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2013年8月8日