登記公証局の2017年4月17日付決定において、従来の決定とは真逆となる、海外で作成された委任状について、当該外国文書の認証を行ったスペインの公証人がその法律行為について十分である旨の明確な宣誓をする場合には、当該宣誓は、当該外国文書が法的にスペイン公文書と同等であるための要件を満たしていることを意味するとの見解を立てた。

2001年法第24号財務及び行政措置並びに社会秩序に関する法律の第98条によれば、スペイン公証人は、外国の公文書のスペイン国内における有効性の判断において、二重の検証をしなければならない。

まず、公証人は同等性の判断をしなければならない。つまり、当該外国文書がスペイン法令の求める特徴を満たしているか、評価をしなければならない。これには2つの異なる段階がある。

  1. 第一段階においては、形式面から文書を評価する。当該文書が合法化されているか、ハーグ条約に基づくアポスティーユ証明が付されているか(ハーグ条約加盟国の場合)(または、合法化やアポスティーユ証明が不要か)といった点を確認する。
  2. 第二段階においては、スペインの公文書に強さを与える文書の構成要素についての確認が行われる。具体的には以下の事項である。

_ 当該文書が、作成国において公文書作成の管轄権を有する者によって作成されているかどうか

_ 公文書作成者が文書への署名者の個人の特定を保証しているかどうか

_ 当該外国文書が作成国において同等の効力を有しているかどうか

_ 当事者の特定及び当事者が法的能力を有していることが保証されているかどうか

次に、公証人は十分性の判断を行わなければならない。つまり、提出された外国文書による委任状が、受任者が実行しようとする事項を行うために十分であるかどうかの確認をしなければならない。

登記公証局の決定が出された登記所による評価書において、不動産登記官は不動産売買による不動産の所有者の変更登記を認めなかった。その理由として、スペインの公証人が、当該外国文書について、十分性の判断については明白にそれを満たしていると考える理由が記載していたにもかかわらず、同等性判断については、すべての要件を満たしていると考える理由について記載しなかったため、当該外国文書は同等性基準の要件を満たしていないと判断された。

しかし、登記公証局の最終決定は、以下のように述べ、当該登記間による評価を取り消した。

登記官は外国文書を認証した公証人に対して同等性判断についての明確な理由の記載を求めることはできない。なぜなら、同等性判断は十分性判断に先立って行われるものであり、公証人が十分性判断を行っている場合には、その前に行われる同等性判断において要件を満たしていると考えているからである。

しかし、当該決定は、登記官が必要と考える場合には、登記官が同等性判断を評価する余地を残している。つまり、公証人が、外国文書が形式要件及び構成要素要件を満たしていると考える理由を明らかにしていたならば、登記官は当該理由について、同等性判断の基準を満たしているか、または、反対に要件を満たしていない(この場合には登記を認めない)と判断することができたであろう。

本件決定は、公証及び登記制度の柔軟性にとって大きな影響を与えるだろう。今後は、実質的には二重のフィルタ(公証人及び登記官)が消え、公証人のみが判断を行うことになる。これにより、敏捷かつ柔軟な制度に貢献するであろうし、外国公証文書による法的関係も容易になるだろう。

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年5月26日