I. 導入部

非常事態宣言下の法人特別措置 (I) (II)」と題する直近の記事では、2020年3月17日付勅令法第8/2020 号第40、43条に定められ、同日から施行されることとなった司法上の法人に適用される特別措置に関して概説したが、3月31日付勅令法第11/2020 号(4月2日施行)にて(1) (3) (4) (6)で概説した措置の一部が修正されることとなった。

上記勅令法にて言及されなかった問題の一つに、会社のカンパニーブックの合法化手続きに関連して上記措置が与えるインパクトがある。

 

II. 法的枠組み

事業主が会計、その他の事項に関する特定のカンパニーブックを提出する義務はスペイン商法第25、26条に規定されている。

カンパニーブックの電子的方法による提出は、商法第27条3項、商業登記規則及び第333条2、3項、及び企業家及びその国際支援に関する2013年9月27日付法第14号第18条1項を適用するための2015年2月12日付 法文・公文書管理局 (公証・登記局より改称) 発行のカンパニーブック合法化手続きに関する指示によると、事業年度の終了日の翌日から4ヶ月以内に義務付けられている。

スペインの大多数の企業では、2020年4月30日に当該4ヶ月の期限が終了したこととなった。

 

III. 2020年4月10日付法文・公文書管理局決定

しかしながら、法文・公文書管理局は2020年4月10日付決定において、COVID-19の経済的・社会的影響に対処するための緊急臨時措置を定めた2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条規定とカンパニーブック合法化手続きに関連し、その影響に関する判断の中で、2020年3月17日付勅令法第8/2020号第40条3 項に規定されている年次計算書類の作成期限の停止は、ここに明示的に言及されてなくとも、カンパニーブック提出義務にも適用されると理解されるべきである、との見解を明確にしている。

法文・公文書管理局は上記決定の根拠を、以下のように説明した。

  • 年次計算書類の作成義務とカンパニーブックの合法化義務の期限は法律ではリンクされていないが、前者及び後者の期限は会計年度末を基準としており、計算書類が作成された後、カンパニーブックが合法化のために作成されるという非常に密接な関係にある。
  • 当該カンパニーブックが、決算日における会社の会計状況を反映していることを考慮すると、当該合法化の期限及び年次計算書類の作成期限を関連づけるのは論理的であるといえよう。上記を鑑みて、計算書類の作成期限が延長され、それに沿って義務とされているカンパニーブックが作成されると理解することは、本合法化を要求する本質的な理由に叶う意味を持つ。

 

IV. 結論

結果として、本非常事態宣言解除後(現時点では、非常事態宣言下にある)には、以下の要因を考慮する必要があろう。

a) 2020年3月14日時点にて、既に計算書類の作成期限が経過していた会社:該当する会社は非常事態宣言による手続き停止の影響を受けず、よってカンパニーブック合法化義務に関する一般的な規則が適用される。

b) 会社の決算日が非常事態宣言解除後(解除確定した時点)である場合は、一般的な規則に従ってカンパニーブック合法化を行う義務を有する。

c) 2020年3月14日時点にて、計算書類作成期限が終了していない(スペインの大多数の会社がこれに準ず)会社は非常事態宣言解除後4ヶ月以内にカンパニーブックの合法化申請を行うことを可能とする。

前記のいずれも、いまだ非常事態宣言下にあるとしても、すでに正当に用意したカンパニーブックの適切な合法化を意図としている会社の行為を妨げるものではないことをここに注記する。

 

 

ヴィジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2020年5月8日