本稿では、株主総会において、定款に定める任期を下回る任期で取締役の再任を決議することが合法であるか、という問題を検討する。
法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)は、2021年12月23日に上記問題にかかる決定を下した。
当該決定が出された事案は、ある株式会社(S.A.)の株主総会で、取締役会構成員である取締役を、6ヶ月の任期で再任することを満場一致で決議したことに発端した。なお、定款の規定では、取締役の任期は6年とされていた。
登記官は、取締役の選任は定款に定める任期でなされなければならないとの理由をもとに、上記株主総会決議の登記を拒否した。
これに対し、株主総会決議にかかる公正証書を作成した公証人は、資本会社法第221条は、初めて選任される場合の任期と再任の場合の任期とを区別していると主張した。すなわち、再任の場合には、最大任期満了時(本件では6年)に選任することもできるが、それ以前に再任することを禁じてはいない、との主張である。
公文書管理局の決定は以下となる。
1996年12月9日付、1999年9月29日付、及び、2013年2月9日付の決定を鑑みると、株主総会は定款で定める任期を下回る任期で取締役を選任することはできない。たしかに、旧株式会社法第126条は、取締役各人について異なる任期での選任を認めていたが、2005年の改正により、全ての取締役について同一の任期とすることが義務化された。
同様に、公文書管理局は、定款に定める任期(以上でも以下でもない)によって選任又は再任されるべき必要性は、資本会社法第221条第2項に定めるように任期に関する定款規定が必須事項であること、および株主総会による取締役解任が比較的容易であるとことに基づいているものと理解した。
しかし、この決定は資本会社法第221条第2項の最後の文言が惹起する疑問を解決するものとは思えない。すなわち、「取締役はその役職について、一度又は複数回、最長任期により再任されることができる。」という文言である。この文言は、明確性に欠けているため、再任の時期は、株式会社の定款に定める最長任期以下となる範囲で、つまり定款に定める任期満了前に、と解釈する余地がある。この解釈は、資本会社法第221条第1項が合同会社(S.L.)について言及する際に、再任は初選任時に定められた任期と同じ任期であるべきである(これについては疑問の余地なし)、と定めているという事実によっても裏付けられる。一方で、同法第221条第2項(第2段落)において、「最長」という言葉が追加されており、合同会社と株式会社の制度を区別し、株式会社の場合の取締役再任は定款で定める任期満了前にも実行できるとの解釈を可能とした。
ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)
ヴィラ法律事務所
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2022年1月14日