1. 導入: 単一電子文書 (Documento Único Electrónico: DUE)

2003年、スペインにおいていわゆる新形態合同会社(sociedad limitada Nueva Empresa) という新しい形態の法人が創設されたのに合わせて、2003年6月7日付勅令第682/2003号が発令され、会社法の分野に単一電子文書 (Documento Único Electrónico: DUE) が導入された。

DUEは、当初、電磁的方法によって新形態有限会社の設立ができるようにすることで、新規の起業家の会社設立の費用・文書・時間を軽減することを目的として導入された。

時の経過とともに、DUEの利用は他の法律行為にも及ぶようになった。2006年には通常の合同会社(S.L.)、2010年には個人事業主(個人事業主)、2013年には協同組合(Sociedades cooperativas)、民事会社(Sociedades Civiles)財団(Comunidades de bienes)、従業員保有合同会社(sociedades limitadas laborales)等に当該文書の使用範囲が拡大された。

2. DUEを利用した手続き

DUEによって行うことができる手続きは以下の通りである。

1)会社の商号申請

2)NIF(税務識別番号)の申請

3)譲渡税及び印紙税の納税申告・清算

4)事業開始届の提出

5)被雇用者の労災(事故及び疾病)保険の登録、及び休職時に被雇用者に社会保険から支給される経済的補償ための手続き

6)社会保険制度への事業主の登録及び社会保険料支払口座の開設

7)船舶及び水上用の乗り物の登録

8)従業員の社会保険登録手続き

9)事業税の登録

3. 改正

従前は、DUEは電磁的方法を用いた手続きにより会社を設立する場合に必要となる書類と理解されていたが、2015102日付勅令第867により、DUEを用いて個人事業主および合同会社の起業家の事業からの退任の手続き及び合同会社の事業の終了と解散・清算手続きを行うことができるようになった。

新しく手続きが可能となったのは、以下のとおりである。

a)商業登記所における会社の解散、清算、消滅の登記、清算人の任命登記、支店の閉鎖登記、その他登記記録事項の閉鎖登記

b)会社の消滅、事業活動の終了、および従業員の社会保険の登録解除の届出

c)国の事業主調査に対する事業の終了及び登録解除の届出、事業税の登録解除申告

d) 会社もしくは事業所が登録されている国、自治州及び市町村の事業登録の解除手続き

e) 国、自治州及び市町村への事業停止の届出(届出が義務付けられている場合)

f)合同会社の起業家の場合、商業登記所、不動産登記所その他のあらゆる登記所における、会社の事業活動またはその職業を実施するなかで生じる債務により差押えの対象とならない資産及び有限責任の登録抹消

g) 船舶及び水上用の乗り物の登録解除

2015年勅令第867号は、2013年9月27日付法第14号起業家法が承認された際にも記されたように、資本会社法附則第3条の定める内容を発展させたものである。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2015年10月30日