I.- 序文

従業員株主会社とは、その資本金を構成する株主の過半数が当該企業の従業員である会社をいう。この種の企業について、法第4/1997号に従業員株主会社の規定が、勅令法第2114/1998号に従業員株式会社(sociedades anónimas laborales)の登記について規定がされている。

II.- 主な特徴

– 会社の種類

従業員株主会社は有限会社(「sociedad limitada laboral」や「SLL」と称される。)または株式会社(「sociedad anónima laboral」や「SAL」と称される。)のいずれかの形態により設立(または組織変更)することができる。

– 資本金

最低資本金の額は当該会社が有限会社か株式会社かによって異なる(有限会社の場合は3,000ユーロ、株式会社の場合は60,000ユーロ。)。当該資本金は、会社の持分または記名式株式に分割される。また、会社持分または株式は以下の二種類に分類される。

・ 従業員持分または従業員株式 : 当該会社の従業員株主が引き受ける持分または株式で、資本金の50%以上を占めなければならない。

・ 一般持分または一般株式 : 当該会社で就労しない株主が保有する持分または株式。

資本金の過半数は従業員株主が所有しなければならず、その3分の1以上を特定の従業員株主が保有してはならない(非営利目的団体の場合を除く。この場合には上記割合を超えても良いが、50%に達してはならない。)。

– 従業員株主

この種類の株主は当該会社と無期の直接雇用契約(フルタイムかパートタイムのいずれか)を結び、当該会社のために自身が就労しなければならない。

– 株主でない従業員

従業員株主会社の株主ではない不特定の従業員の年間就業時間数は、株主従業員の就業時間数の総計の15%(当該会社の従業員数が25人以上の場合)または25%(当該会社の従業員が25人未満の場合)を超えることはできない。

– 経済にかかる特例

従業員株主会社は毎事業年度における純利益の10%を特別準備金として割り当てることが義務付けられている。税務上の特例を受けたい場合には、当該準備金割当のための純利益のパーセンテージは25%となる。

– 税務にかかる特例

法の定める要件を充たす従業員株主会社は、資産譲渡及び印紙税(Impuesto de Transmisiones Patrimoniales y Actos Jurídicos Documentados)による特定の取引において99%の割戻金を受ける権利を有する。また、ある一定の状況下において、法人税における資産のいくつかの項目について自由に償却することができる。

III.- 結論

実務において、従業員株主会社は、当該会社の目的が基幹産業に関連しているような、家族経営の中小企業である場合に望ましい形態である。

 

ヴィラ法律事務所

 

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2013年5月17日