定時株主総会としてではなく開催される株主総会の招集は、株主総会自体が有効に成立するように、法律もしくは会社の定款の規定に則って行われなければならない。具体的に言うと資本会社法(LSC)第173条がこれに該当し、同条において会社のホームページにおける公告の掲載義務が補則される以前には、商業登記所の官報(BORME )及び県内で一番の発行部数を誇る日刊紙の一つに株主総会招集についての掲載を行う義務を規定していた。

本稿では、2017年9月20日付最高裁判所判決を検証する。本件は設立以来全ての株主総会を定時株主総会として開催していたある株式会社が、2011年3月9日付で臨時株主総会を招集したことに発端する。本招集は、BORME及びセビージャの日刊紙「コレオ・デ・アンダルシア」へ公告が掲載された。

2011年3月9日開催の臨時株主総会には、当時代表取締役の一人であったコルネリオ氏のみが参加した。

コルネリオ氏以外の株主はこれを不服とし、本株主総会決議及びその結果としての登記記載項目の無効確認の請求を会社に対して起こした。コルネリオ氏は原告の申し立てに対し、本会社は当時、株主総会で決議が成立しない状態にあり、従来の定時株主総会の開催・決議という手順を踏むことが不可能であったとした。それ故に、前述の法律条項(資本会社法第173条)で規定する臨時株主総会の招集方法に則り、総会を招集したと反論した。

本件の第一審判決は、本無効株主総会の招集方法は、長年の会社の経営方法に比して全く新規の方法であり、他の共同代表取締役を会社の業務執行機関から解任することを目的にした株主総会であったことを理由に、原告の申し立てを認めるものだった。結論を言えば、本臨時株主総会の開催及び決議の無効確認がなされた。

コルネリオ氏は第一審判決を不服として、セビージャ県の法廷に控訴を申し立てが、同法廷は第一審判決を支持し、これを棄却した。第二審判決によると、本臨時株主総会は法規定に則って招集されてはいるものの、以下の理由に基づき代表取締役であるコルネリオ氏側に明確な権利の乱用が認められるとした。

(i)  通常、会社の株主総会の開催は口頭で全員一致により合意していたので、株主総会の招集をBORME及び会社住所のある県域内における大手日刊紙に公示を掲載する費用をかける必要性が認められなかった。

(ii)  招集した取締役は善意で行動すべきであり、総会の招集方法に変更があったこと及び、今回は法律で規定されている通常の手続きを踏む旨を他の株主に通知すべきであった。

(iii)  上記のように行動しなかった故に、権利の乱用があったとする。

(iv)  資本会社法第173条株主総会の招集に関する規定の目的は、株主に総会開催及び議事内容を確実に通知することにある。

(v)  最後に、直接の通知方法が通例となっている少数株主会社において、事前通知もなく、資本会社法第173条のみを適用することは、他の株主が株主総会の招集を知らないことになり、ひいては株主の権利を行使できず、同条項の規定目的に反する不公平な適用であるとみなすとした。

会社側は資本会社法第173条株主総会の招集に関する規定されている法的要件を満たし、それ以上はないとして上告したため、本件は最高裁判所の判断に委ねられることとなった。加えて会社は、第二審の判決は、悪意に基づく行動であり、招集をかけた取締役の権利の乱用であることを十分に証明できないことを理由に総会招集の無効性を否定した、以前に同様の件を判断した最高裁判所の判例に反するとした。しかしながら最高裁判所は、悪意に基づく行動及び権利の乱用であることを十分に証明可能であることを理由に本臨時株主総会の開催及び決議の無効性を確認した第二審判決を支持した。

結論

法律の規定に則っての行動であったとしても、それを利用、乱用もしくは悪意に基づく悪意に基づく適用を行なったと認められる場合には、無効にすることができる。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。

va@vila.es

 

2018年2月16日