スペインにおける支店の法的概念は商業登記規則第295条に以下のように規定される。

「支店とは、会社の営業活動の一部、もしくは全部を実行するために設置される、永続的な代表権を持つ、一定の自治管理機能を有する本店の二次的な営業拠点である」

恒久的施設との相違点は、支店は独自の法人格を有しないにもかかわらず、スペインにおいて商事性を有する会社と同様な義務を負うとの規定が、前述の条項にあることである。

したがって、支店には本店所在地の管轄の商業登記所への登記義務がある。支店が属する会社の本店所在地が外国にある場合、商業登記規則第375条の規定によると、年次会計書類の提出義務がある。

スペインでは、国内の商事性を有する資本会社に商業登記所への計算書類の提出・登記を義務付けない法律は考えられない。しかしながら、そのような国は存在し、その場合、商業登記法第376法に以下のような規定が存在する。

「外国会社の本店が準拠する法律が、スペイン法のように計算書類作成を義務付けていない場合(…)会社はスペイン支店の商業活動に関して計算書類を作成し、 商業登記所に提出しなければならない」

これに反する場合、つまり会社本店所在地の準拠法が年次計算書類の提出を義務付けている場合、スペインに支店を有する外国会社は、支店の商業登記所に、親会社の年次会計書類を提出しなければならない。該当する法規定によって求められる場合には、連結決算報告書の作成を要する。

既に外国会社の本店所在地の商業登記所に会計書類が提出されている場合、

登記官の判断は当該登記の確認にとどまる。

本件に関し照会したスペイン国内の異なる登記所の情報によると、いかなる形で年次会計書を提出するかについての統一した見解は存在しないとしている。しかしながら、スペインの商業登記所がスペインに支社を有する親会社の年次会計書類の内容を把握していないとしても、少なくとも年次会計書類提出の提出期限の統一見解は存在し、会社の会計年度終了後、翌年の1231日までとしている。

実際には、前述の義務の不履行の結果として、年次会計書類を規定された期限内に提出していない場合、支店の活動に大きな支障をきたす可能性があり、ひいては親会社にも問題をもたらすこととなる。年次会計書類が提出されていない場合、商業登記所は支店の登記簿を閉鎖する。登記簿が閉鎖されている状態にあると、例えば、委任の登記を妨げることとなる。支店代表者の辞任、新たに代表者を選任しなければならないような場合、権限付与しなければならないような場合、登録簿が閉鎖されているとこれらの手続きを実行することはできない。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

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2018年6月8日