2020年7月2日付官報にて、マドリード第23商業登記所の登記官による、会社取締役の解任及び選任の公正証書についての登記却下の判断に対する異議申し立てにおける、法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)の決定が公示された。

本件において、一人取締役の解任及び選任の公正証書が提出された。同じ公正証書で商業登記規則第111条にしたがって、公証人から前任取締役への解任通知を行うことが求められ、公証人は、指定の住所(前任取締役の住所)に直接赴いた担当者は個人が特定される二人の人物によって迎えられたものの、配達証明は作成されなかったとの証明を行った。

登記官は「前任取締役に対して行われた通知は、当該取締役の登記がされた住所にて行われていないため、商業登記規則第111条の要件を満たしていない。」として、登記を実行しないとの決定をした。

上述の登記却下の判断にあたり、その問題の本質について、公証人は次のように異議を唱えた。

「通知は公証規則第202条に定める形態のいずれの形態においても補完がされることができる。そして、通知について規定する規則及びそれらの目的を合わせて解釈するに、公証人が個人的に通知を実行し、何を通知するのかを把握し、登記がされた住所で配達証明書について協力を得られず、通知に関する文書を終了することを決めた場合、意味をなさないことは明らかである。新たに受領証明付き証明郵便を送ることで配達証明が発行されるように義務付けるというのは、商事実務に敏捷性を与えるという立法者の目的に反している。これは間違いなく、商業登記における新任取締役の登記を遅らせ、経済及び法的実務を妨害することになる。

公文書管理局は、公証規則第203条は「利害関係者、代理人又は手続きを理解している人物が配達証明の収集を拒否するか、その受領に対して能動的又は受動的に抵抗を行う場合には、その旨が記載され、通知がなされたものとみなされる」と規定していると述べ、しかし、2008年5月20日の最高裁第3法廷判決が、法の留保の対象となる事項に関する法第30/92号によって定められた一般的な制度を逸脱するとして、「手続きを理解している人物」の部分を無効としたことに留意しなければならないとした。

公文書管理局はまた、公証規則第206条第6項で定められているように、公証人は引渡し証明を作成することができなかったため、1999年12月3日勅令第1829号の定めるところにより、受領確認付き証明郵便又は引き渡しについて信頼できる記録が可能なその他の方法によって送ることが不可欠であると加えた。公証規則第202条及び第203条の定めるところに照らして考えると、本来の受取人又はその代理人とは異なる人物に証明書が渡された場合、公証人は、通知が行われる予定の住所へ公証人が赴いて行う通知と証明書付き郵便(又は引き渡しについて信頼できる記録が可能なその他の方法)での通知と、少なくとも2回の通知を試みることをカバーするような公証人による二重の行動が必要であると結論づけるべきであるとした。

そして、本件においては、上記第202条に規定する公証人本人による通知の試みしかなされておらず、受領確認付き証明郵便による通知が送られていないため、登記に支障が生じるものとの結論を示した。

 

 

露木美加

ヴィラ法律事務所

 

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2020年8月7日