会社を設立する際、有効に設立するために遵守すべき必須要件について多くの疑問が生じる。そのうち最も重要となるのは、資本金と資本として充当可能となる財産の種類に関する疑問である。

最も一般的なケースは、資本金が全て金銭的に拠出される場合である。一方で、会社目的のために高度な知識が必要とし、その独占性により差別的価値を生み出すような会社の種類のケースでは、機密情報の保管・保護が必要とされるため、「ノウハウ」という名の特定無形の知識が資本の一部に充当可能であるかという疑問が生じる。

2019年12月4日付登記・公証局判断において当該疑問の提起がなされ、商業登記官は、複数の財産構成の一部に、特定のプロジェクト獲得を可能とする商品、または部品のデザイン、製造、使用、管理、商品化のために必要な技術情報によって構成される「ノウハウ」を含もうとした、ある有限会社の会社設立登記の拒否を支持する判断をした。本ノウハウは、会社の設立、発展、及び商業化に必要なビジネスモデルと同様に、会社の知識、特殊能力及び獲得経験の総体として機密として管理されるものと定義された。

本件商業登記官が提起した問題は、会社設立の必要払込に充当し得る財産について以下のように規定するスペイン資本会社法第58条に起因する。

「1. 資本会社においては、換価可能な資産または権利のみが出資の対象となりうる。

2. いかなる場合も労働またはサービスは出資の対象となりえない。」

担当登記官は、「ノウハウ」は、第58条第2項のコンセプトにより近いとし、つまり、労働またはサービスとして扱われるため、資本金の出資の対象とすることはできないとした。

「ノウハウ」の概念を明確にするために登記・公証局は、2005年10月21日付スペイン最高裁判所判決を参照し、一連の異なるアプローチを行った上で、「ノウハウ」は公有に属さず、製品の製造又はマーケティング、サービスの提供、又は事業の組織化に必要な固有もしくは技術知識のパックであると定義し、本知識をコントロールする者は、開示を回避し競合者からの保護に努めることで、優位性を持つとした。

登記・公証局は、当該「ノウハウ」という用語は営業権という用語と同様に義務として扱われるものではなく、無形ながらも資産の一つであるとの見解を示し、その点において、スペイン資本会社法第58条が規定する性質を兼備する、つまり換価可能であり、利益を生み出す資産的性質を有すとした。

また、「ノウハウ」の経済的価値特定の困難、及びその無形性に由来する差押え時の取扱等が別の問題とし存在する。従って立法者側がより頻繁に、会社の「ノウハウ」に関する様々な法的問題についての分類・更新を実行することは、法的安全性の向上に貢献することとなろう。

 

 

マデロ・ハイメ (Jaime Madero)

ヴィラ法律事務所

 

更なる詳細を知りたい方は以下までご連絡ください。

va@vila.es

 

2020年1月31日