1. 適用規則

スペイン資本会社法(LSC)第23条、商業登記規則第117条(株式会社に適用)及び第178条(有限会社に適用)は、会社の活動を構成する会社目的を定款に記載することを義務付けている。

会社目的の記載は商業登記所における定款の登記の必須要件であり、ひいては、あらゆる資本会社の設立に必要不可欠なものである。

 

2. 登記公証局の見解

スペイン登記・公証局は、会社目的は、産業分類、法的または法人としての事業活動の区分が十分に可能な方法によって決定されるべきとの見解を示している。(同様の多数判断の中から2018年10月9日付スペイン登記・公証局決定より)

上記の見解に加え、商業登記規則が会社目的に含むことを禁止する以下の2つの制限に留意する必要がある。

  • 「会社目的に記載される事業活動の実現または発展のために必要な法的行為」という記載は、取締役の代表権限は会社目的のための行為全てに及ぶため、不必要であるとしている。(スペイン資本会社法第234条第1項に則る)
  • 「あらゆる合法的な商業活動の実施、またはこれに類似的な意味の用語を用いること」は、会社の目的が不確定で包括的なものになることを回避するために制限している。

上記に関連して、登記・公証局は、一般的な用語によって表現される事業活動は、具体的な活動をも内包してしまうため、会社目的から排除するためには、用語のより特定な定義を要するとし、その逆は認めないとしている。

前述の見解では、会社は設立時から、(将来的に、事業活動が実際に発展するときではなく)会社目的を構成するあらゆる活動の完全なる発展を可能とする要件を満たさねばならないという事実と相まって、活動のために特別な規制に準拠することが要請されているが当該規制にしたがっていない場合、そのような事業活動を定款から明示的に削除する必要性を意味している。

例を挙げると、業務実行には学士資格を要する専門的活動を会社目的に含むことは、職業的会社に関する2007年3月15日付スペイン法第2/2007号の強行規定に抵触するため禁止されている。ただし、設立会社がメディア、通信、営利企業、または仲介会社であることが明示的に表明されている場合は、これを例外とする。

 

3. 結論

スペイン登記・公証局はある判断の中で、本来、合法的でないこと、想定分類内において活動が不可能であることなどを理由に除外されるあらゆる事業活動を、例外的に定款に含むことを容認し、本例外を、無意味もしくは非合法な表現とせず、逆に本例外は、会社目的の具体化に寄与するとの見解を示した。

しかし、株主/出資者が特定な活動を実行することを望んでいる場合、特別な要件を要求する一般的な活動を含める代わりに、該当する特定事業のみを会社目的に含むべきである、とした。

会社目的、及びCNAE番号(スペイン標準産業分類による経済活動コード)の決定方法に関する更なる情報については、2018年5月発行の記事をご参照ください。

 

 

ヴィシャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2020年 1月 24日