スペイン法務省は、マネーロンダリングのための金融システム利用の防止に関連した2015年5月20日付EU指令第849号第IVを国内法令化するための一連の措置をとることを提案した。又、同じく指令第Vに関しても、正式な法案が公示されてはいないものの、対策が取られる。

指令第IVについては2016年6月26日までに国内法令化されていなければならなかったことを、注記しておく。

以下の2点は、指令第IVが制定する基本的な義務である。

a) 会社の実質的所有者に関するデータが各加盟国の中央登記所に保管されることの必要性

b) 会社の設立や会社の書記役又は経営機能を担うサービスの提供者について、ライセンス制又は登録制とする必要性

データベースに関しては、会社の実質的所有者の情報について公証人が取り扱う統一データベースに始まり、公証人会は、動産及びサービスの市場において介入できる会社の実質的所有者が誰なのかを把握するために、より効力が強く完全な新しいデータベースを構築した。しかし、これは法的文書によってなされる会社持分譲渡や株式会社の株式譲渡を考慮していないため、網羅的なものとは言えない。

2010年法第10号の資金洗浄防止法の改正が行われる。これにより、商業登記所が商事会社へのサービスプロバイダの登録を取り扱うこととなる。これらのプロバイダには専門職(弁護士等)同様、個人・法人のいずれも含まれなければならない。プロバイダは、商業登記所が処理できるよう、特別登記への登記を申請しなければならない。

第3に、2018年から、そして2017年会計年度の開始から、計算書類に加えて、会社の実質的所有者、つまり、会社の資本の25%を保有する個人又は会社の経営を直接又は間接的に管理している個人に関する文書の提出が義務付けられる。会社の経営の管理が、中間に法人が存在する等、間接的である場合、当該法人についても記載しなければならない。取得された情報は、個人情報保護の条項の効力を受けるものの、申請すれば誰でも閲覧可能となる。

最後に、マネーロンダリング防止にかかるEU指令第Vの国内法令化については、商業登記所への申請をすれば誰でも閲覧ができる会社の実質的所有者に関するデータベースへの情報アクセスが容易になる。加えて、「実質的に所有」しているとみなされる個人の株式保有率が25%から10%へと下げられる。上記を補うものとして、情報交換条約に加盟しているEU加盟国間で開示されたそれらの情報へのアクセスを可能にする目的で、欧州各国の商業登記所間で相互に情報交換が行われる。これにより、加盟国間レベルで事業を行う又は事業を行おうとする会社や専門職の者に対してより大きな安全性と保障を提供し、マーケットにおける透明性を高めることを目指す。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2018年3月16日