2022年3月28日付法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)決定は、ある有限会社(Sociedad Limitada)の取締役会設置会社の取締役選任にかかる出資比例議決権制度の合法性についての問題を解決するものである。

本件は、商業登記官は、以下の2つの定款規定の登記を拒否したことに発端する。

1つ目の定款規定の内容は以下のとおりである。

「自主的に単元化された会社の出資持分は、会社の資本金と同額又は資本金の額を取締役の員数で割った結果以上の金額に至るまで、全体の端数は繰り上げ、対応する割合から差し引かれた人数を選任する権限を有する。したがって、この権限が使用される場合には、単元化された出資持分は取締役会を構成する残りの取締役の選任投票には参加しない。」

なお、この定款規定は、スペイン資本会社法第243条、株式会社に関する規定であることが明確に示されている条文を転載したものであったことを指摘する。

また、出資比例議決権制度が廃止又は修正された場合、又は取締役会非設置会社となった場合の株主の退社権について定めていた別の定款規定についても登記を却下した。

商業登記官は、これら規定の登記却下理由について、まず、出資比例議決権制度は株式会社にのみ認められる制度であり有限会社には認められておらず、資本会社法に反していること、また、商業登記規則第191条にも反していることを主張した。

資本会社法第243条は、少数株主がまとまることでその結果として特定の議決権の重要性が増すことにより、個別である場合には実行することができないであろう取締役会への参加を可能とするメカニズムを制定しているということを確認したい。

たしかに、商業登記規則第191条は出資比例議決権制度による取締役選任を禁じている。もっとも、この条文は資本会社法に階層的に従属する規則に対応しており、最高裁も2009年3月6日付判決第138/2009号により、この規則は「株式会社の出資比例議決権制度の補足的な適用を単に除外するもの」であることを確認している。同様に、当該判決は、有限会社における会社組織の柔軟性と株主自治の原則(特に少数株主の保護)に配慮しなければならないとも述べており、商業登記規則が上記の考えや原則に基づく取締役選任についての出資比例議決権制度を禁じているのは逆説的であるように見える。

公文書管理局は、資本会社法は定款自治の原則を宣言していること、そして、同法第28条が、法令に反したり、選択した会社形態(株式会社または有限会社)の原則に矛盾したりしない限り、設立株主が設立にあたって便利であると判断するすべての会社の合意や条件を定款に含めることを認めていることを指摘し、この法的理論を支持した。また、労働者会社及び投資会社法は、これらの会社が取締役会設置会社である場合に、資本会社法第243条の定める出資比例議決権制度により、取締役を選任する目的で普通株式の所有者がその保有株をグループ化することを認めていることも述べた。したがって、これらの会社においてこの制度が認められるのであれば、有限会社においても認められるべきであるとした。

上記理由に基づき、公文書管理局は異議申立ての対象となった定款規定について登記拒否をすることは合理性が認められないと結論付け、商業登記官の判断を取り消した。本決定は、有限会社の枠組みにおいて柔軟性の概念が支配しなければならず、この種の形態の会社が従属すべき原則に対する法的禁止、又は違反がないのであれば、出資者が自由に合意した定款規定は、その枠組みを尊重する限りにおいて、合法であると宣言されるべきであることを明確にした。したがって、本決議は、定款に適切にそれが規定されている限り、取締役会構成取締役の選任のみならず、共同代表取締役や複数取締役等の他の種類の会社運営組織の選任においても出資比例議決権制度を設けることができると拡大解釈することができるだろう。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

 

ヴィラ法律事務所

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2022年4月28日