2022年12月22日、2022年12月21日付法第28/2022号が施行された。この法は新興企業のエコシステム促進に関する法であり、「スタートアップ法」と知られている。本法律は、「EU Startups Nations Standard」という欧州の基準に近づき、有能かつ革新的な企業をスペインに引き寄せ、国内新興企業や革新的企業を強化することを目的として制定された。
本法律は新しく設立された企業又は設立から5年未満の企業、及びスペインにおいて独自の技術開発を行った企業やバイオテクノロジーといった戦略的セクターの企業で設立から7年未満のものを対象としている。これらの全てが以下の要件を満たしていなければならない。
- 他の企業に依存していないこと(独立性)
- 株式市場に上場していないこと
- 利益分配をしていないこと
- 年間売上高が5百万ユーロ以下であること
- SME国内イノベーション企業により定められるイノベーティブな性格を有していること
本法律によって、より有利な税制と行政の簡素化の向上を導入することで、国内外の投資を増やし、より多くの才能を引き寄せることを目的として、様々な税制及び行政上の措置が設けられている。
海外からの投資及び国際的なテレワークの促進を達成するために、起業家やテレワークのためにスペインに向かう者に対して5年間の居住労働許可の可能性が導入され、さらに、特別税制度の適用を利用して、非居住者税率にてスペインでの所得税を納めることができるようになる。さらに、特別税制の適用を受けるための要件である従前のスペインでの居住歴が無い期間についても、過去10年間から過去5年間に短縮された。
法人税及び非居住者所得税の税率も引き下げられ、課税標準がプラスになった時点から最初の4事業年度は一般税率が25%から15%に引き下げられる。
ストックオプションは、会社による現物報酬として年間50,000ユーロまで非課税となる(現在は12,000ユーロ)。また、合同会社(S.L.)において自己株式生成のための要件に大きな柔軟性が導入されることとなる。
投資控除の上限額を現在の年間60,000ユーロから年間100,000ユーロへ拡大し、控除率を30%から50%に拡大することによって、スタートアップ企業への投資インセンティブとする。
本法律により導入されたもう1つの利点は、税債務の繰延べ申請の可能性であり、課税標準がプラスであれば、最初の2年間は保証や遅延利息の必要なく付与される可能性がある。
行政手続きの簡素化に関しては、新規に合同会社を設立する際の公証人及び登記申請の費用及び商業登記官報での公示の排除に特筆すべきだろう。また、非居住者の投資家について外国人識別番号(NIE)の取得が義務ではなくなり、納税者識別番号(NIF)のみの取得が必要となった。
ヴィラ・オスカル (Óscar Vilá)
ヴィラ法律事務所
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2022年12月30日