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ここ数年、行政当局の不動産市場への介入を我々は目撃してきた。例えば、カタルーニャ州内では、州およびバルセロナ市の行政機関に、特定の不動産譲渡に関する優先交渉権(先買権および買戻権)を認めている。

カタルーニャ州政府は、次に挙げる譲渡に関して行政機関に優先的交渉権を付している。

1- 大口法人不動産所有者が所有する、価格高騰地域(以下、「摩擦地区」という)に所在する住宅。自己居住目的での自然人の新築住宅譲渡は、除外される。

2- 官公庁や司法による競売で落札された住宅

3- 住宅ローン滞納による差押え手続き、または不動産担保ローンの返済もしくは補償によって取得された住宅。2008年4月9日以降に譲渡された住宅に適用される。

4-公営住宅建設用に確保された個人所有の土地。

5- 建物全体の譲渡の場合の非賃貸住宅、同様に賃貸住宅。同一グループ会社内で、会社目的が同じ、または類似した不動産関連活動を行っている会社間の不動産譲渡は除外される。

上記いずれのケースも、不動産所有者は譲渡の決定を行政当局に通知しなければならず、行政当局は2ヶ月以内に先買権を行使するか否かを表明しなければならない。当該期間経過後も行政当局から返答のない場合は、第一選択権を放棄したものとみなす。

不動産所有者が、行政当局に対し不動産譲渡の意図の通知義務を遂行しなかった場合、行政当局は、不動産譲渡とその売却条件を認識した日から30日以内に買戻権を行使することができる。

自治体レベルでは、2024年12月12日付にてバルセロナ市が、バルセロナ市内における優先交渉権地域設定措置の6年間の延長を決定したことは注目に値しよう。これは、2018年に「バルセロナ市内優先交渉権地域宣言と建築期限の定義のための一般都市計画修正」案の承認により実施されたメカニズムの継続であり、公共住宅ストックの拡大と住宅密集地域における新規住宅の創出を意図したものであった。

当該措置は、バルセロナ市が引き続き、集合住宅建物全体の有償譲渡に限って、優先交渉権を行使することを可能とする。しかしながら、老朽化した建物や完全な空きビル、空家税の対象となる空家が所在する土地について、当該権利を行使する可能性を取消した。また、カタルーニャ高等裁判所はすでに、未開発の土地に関するバルセロナ市の優先交渉権の適用について無効判決を下していることにも留意が必要である。

先日319日、バルセロナ市のエコロジー・都市計画・モビリティ・住宅委員会が、市が不動産の購入を放棄するだけでなく、第三者や公営住宅開発業者、不動産の法定居住者、補助金付き住宅の促進を目的とする民間または非営利の開発業者に、その優先交渉権の譲渡を認める新条例を承認したことが判明した。ただし、本条例の最終承認は、バルセロナ市議会本会議の判断に委ねられる。

 

ルビオ・ジョアン・ルイス (Joan Lluís Rubio)

ヴィラ法律事務所

 

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2025年3月21日