導入

本稿はスペインにおける参加型ファイナンスのプラットフォームに関する一連の記事の第三番目であり最終稿である。本稿では、投資プラットフォームの設立について概要を述べる。第一番目の記事「スペインにおけるクラウドファンディング」では新しい規則の一般的な内容について、第二の記事「スペインにおけるクラウドファンディング(II)」では、投資の観点から法について主に述べた。

クラウドファンディング・プラットフォームの設立

説明を始める前に、本稿においてプラットフォームと言った際には、現金収入と引き換えに資金供与を行う個人(投資家)が企業プロジェクトの実施のための資金供与を申し入れる個人または法人(プロモーター)にコンタクトを取るためのプラットフォームを指すことを明確にしておく。

また、法を選別しなければならず、活動を開始するために必要な書類や行為、さらに当該行為を行う順番について検討しなければならない。

(I)認可(Autorization)

まず、株式市場監視委員会(Comisión Nacional del Mercado de los Valores, “CNMV”)に対し、参加型ファイナンス法人の認可申請と登録を申請しなければならない。申請時に提出が求められる書類のリストは非常に長く、特筆すべきは、それら書類の多くは個々に編集される類いのものであるということである(ただし、中央商業登記所発行の商号証明書は除く。)。書類リストを確認するには参加型ファイナンスプラットフォームに関する法第57条を読むことが必要である。

 (II)設立(Incorporation)

認可を受け業者登録がされたら、会社の設立手続きに移る。そこでは、いくつかの要件を充たさなければならず、とりわけ、60,000ユーロの最低資本金を具備していなければならなかったり、商号内に「参加型ファイナンスプラットフォーム(Plataforma de Financiación Participativa)」という表現を含まなければならなかったり等の要件が課せられることは留意されたい 。要件のひとつに、取締役に尊敬に値する人物と(persona de honorabilidad)して周知されている者を含むこと、という、解釈が非常に難しい要件が存在する。

会社の資本金に関する要件は民事責任に関する保険に加入することで補填することができるが、その他の代替不可 な要件も存在するので注意されたい。

最後に、参加型ファイナンスプラットフォームは、その主たる事業である参加型ファイナンスプラットフォーム以外の事業に従事することができないことを述べておく。

結論

参加型ファイナンスプラットフォームの設立は通常の会社設立とは大きく異なるものであるため、通常の会社設立時以上に注意が必要であるし、求められる書類の数も多い。

規則内に定められた様々なコンセプトの解釈について、商業登記所がどのような見解を示すのか、注視しなければならない。CNMVの認可はプラットフォームの登記が完了するまでは効力を発しないことが既に示されている。(なぜなら、プラットフォームが登記されていない以上、第三者への設立の有効性を主張することができないからである。)

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2015年9月4日