販売契約の実行時に最も想定される問題提起の一つは、多数の判例によると事前に合意がない場合でも、販売契約終了後、販売当事者の顧客紹介補償金の放棄を両当事者間において合意をすることは十分に可能であることの理解である。判例によると当該補償金は、もはや受領しない収入(貧困)を販売当事者に補填することを意図せず、販売当事者はむしろ事業資産(のれん、営業権)の創出への支払いであり、販売店契約終了後に、事業主によって利用されるべきではないとされている。

スペイン民法第1255条規定、契約両当事者の自治性の原則を維持しながらも、このような放棄は、最近の判例においてこれが不動でも、異議申し立て不可能でもないことを示した。

2015年6月18日付及び2018年2月2日付バルセロナ県裁判所は、顧客紹介補償金放棄に関し明示的な同意がありながらも、最終的に補償金というコンセプトで販売当事者に支払うことを命じる判決を言い渡している。

第一のケースは、電気通信事業社と販売者間の、独占供給販売契約の場合で、契約条項に前述の放棄規定が存在した。

県裁判所判決は、適切な事前告知を経て両当事者のいずれかが申立てた場合、いずれかの一方に対する損害賠償の権利を付与せずに契約の解除を許可する契約規定は、法の乱用でも、法、道徳、公序に反するものでもない、という前提を強調した。しかしながら当該具体的なケースにおいて県裁判所は、第一審判決の判断基準を支持し、当該契約は、電気通信事業社が全ての販売員に用意する一般的な契約に内容となり、規定された条件、具体的には権利の放棄に関し交渉の余地がなかったとの見解を示した。

他方、第二のケースは以下の内容を含む独占販売契約を判断するものであった。

a) 現行の契約で製造者が販売者に対し有するいかなる権利は、契約終了により損なわれない。

b) 販売者は、契約の終了に伴う「契約上の利益喪失、再販の権利喪失、営業権の喪失、利益の喪失若しくはいかなる他の喪失」から生じる損害賠償として、製造者に対するいかなる種類の請求を明示的に放棄する。また同様に、契約の終了の目的として「法に規定するいかなる製造者に対する損害賠償、若しくは補償金の全て且ついかなる請求権利」を放棄する

上記契約の判断に関し、第2審判決は、契約の遵守を意味するこのような排除の性質は、両当事者の一方の裁量を要することとなり、スペイン民法第1256条違反にあたるとして、第1審で販売者に顧客補償金受領の権利を認める判決の判断基準で言及したように、第1審判決にて評価された条件のもとでは、本契約規定条項は無効であるとした。

顧客紹介補償金の契約上の放棄が、十分有効性を持ちうるのは明らかであるが、判例が要求する最低限の要件を満たすことも必要である。

しかしながら第2審判決は、契約の枠組み内での顧客紹介補償金の権利放棄の正当性を十分に認める上記の前提を覆すことなく、上記の正当性に言及しつつ、一般原則的として販売契約書に本補償金について規定するような、自動的かつアナログ的な適用を拒否する内容であった。

 

 

テラン・アンドレアス (Andreas Terán)

ヴィラ法律事務所

 

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2020年2月14日