ここ数日間、レオ・メッシ選手がFCバルセロナに送った、自身の契約の一条項で保証されているクラブ退団が書かれた内容証明郵便の話題で持ちきりとなっている。
しかし、この決定をめぐる問題が生じるのにそう長い時間はかからなかった。なぜなら、公表されているところ(実際に当該条項の内容にアクセスすることはできていない)によれば、選手は6月10日までであれば違約金を支払う必要なく契約を終了させる権利を行使するオプションが与えられていた。
今回は、選手が8月25日、もともと5月30日に予定されていたチャンピオンズリーグ決勝の2日後に当該コミュニケーションを行なった。
この点において、クラブは定められていた期限(6月10日)を超えているものと考え、選手の権利行使について否定的な考えを示した。これは、選手は違約金条項が定める700百万ユーロの違約金を支払うべきということを示唆している。
問題は、当該条項について内容に同意した時点における両当事者の意図に由来する。当事者の意図は、シーズンの終わりに自由になる可能性を選手に提供すること以外のものではなかった。すなわち、選手に(一見すると)シーズン終了(チャンピオンズリーグの決勝開催)から10日の期間が与えるというものである。しかし、合意した日が到来した時点で、COVID-19感染症の影響により、全ての試合のカレンダーが変更され、シナリオは全く異なるものとなっていた。
この点について、スペイン民法の第1281条では「ある契約の条件が明白であり、契約当事者の意思について疑問の余地がない場合、当該条項の記載とおりの意味となる。」と規定されている。反対に、「もし記載内容が当事者の明らかな意思に反するような場合には、後者が前者に優先する。」また、「契約当事者の意図を判断するために契約時及び契約後の行為が主に考慮されなくてはならない。」との補足がされている。
上述の最後の点に関し、より明確にするため、クラブの会長自身が記者会見/公開インタビューで、ソシオ(FCバルセロナの会員)の利益のために契約条件について説明し、その中で2019-2020シーズン、つまり契約3年目終了時、かつ、2020- 2021シーズン開始前に、選手がクラブに提供したサービスに対する感謝の意味を込めて、選手は自由に退団をすることができたと示した。
文字通り意味するように、契約両当事者の意図が、選手がシーズンの終わりに決断を下すことができることであったことを前述の宣言で示しているのは明らかである。したがって、現在の新しい状況に照らし合わせて考えると、カレンダーの変更後、シーズンの終わりは最初に合意した日付ともはや一致しなくなったが、契約当事者の意図は、シーズン終了の日付であったが故に、前述の日付に選手にオプションを与えることであったことは明白のように思われる。
テラン・アンドレアス (Andreas Terán)
ヴィラ法律事務所
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2020年9月4日